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2019 年度 実施状況報告書

ピコルナ様ウイルスがミカンハダニの食性と繁殖に及ぼす影響とその制御要因の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K22308
研究機関京都大学

研究代表者

刑部 正博  京都大学, 農学研究科, 准教授 (50346037)

研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2022-03-31
キーワードピコルナ様ウイルス / ミカンハダニ / 共生的ウイルス / 寄主植物適応 / 紫外線
研究実績の概要

本研究では、ミカンハダニにおいて、カンキツ寄生時に特異的に発現する遺伝子中から発見したピコルナ様ウイルス(一本鎖RNAウイルス)について、全RNA配列の決定を行う。さらに、寄主植物特異的なウイルスの増殖と太陽光紫外線の影響を調べる。それらにより、植物成分や紫外線によるピコルナ様ウイルスの抑制の有無とミカンハダニへの負荷の変化を明らかにする。本年度は、先ずピコルナ様ウイルスの全RNA塩基配列の決定に向け、主にウイルスの5'末端側の解読に取り組んできた。ピコルナウイルスは5'末端にVPgタンパクが結合しており、また一般的なmRNAに見られるようなキャップ構造は持たず、IRES(Internal Ribosome Entry Site)依存的タンパク合成開始が行われる。ミカンハダニから抽出した全RNAからcDNAを合成して5'RACEを行った結果、これまでのところ3'末端のポリAテイルから5'末端側に8245塩基程度の塩基配列が解析できた。しかし、5'末端に予想される立体構造ならびに蛋白により、5'末端の解読には至っていない。そこで、現在、いくつかの手法を試しながら、5'末端の決定を試みているところである。一方、これまでに決定したcDNA配列について解析した結果、3'末端側から1000~1500塩基程度の位置にピコルナウイルスのカプシド蛋白と特異的に類似した配列が認められた。また、3000~3800塩基程度の位置にRNA依存的RNAポリメラーゼ様の配列があることが分かった。今後、5'末端を決定して全塩基配列を確定する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

5'末端の配列決定にやや時間が掛かっているが、現在取り組んでいる分析方法が順調に進む予定であり、実験が可能な状況であれば本年度の夏までには全配列を決定できるものと考えている。一方、本ウイルスの動態を調査するための、検体抽出方法および量的PCR用のプライマーのプロトタイプの設計などはほぼ完成している。したがって、全塩基配列を決定した後には直ちに動態解析に移行する予定である。

今後の研究の推進方策

令和2年度には、ウイルスの全配列の決定と並行してミカンハダニ野外個体群における分布調査を開始する予定である。なお、ウイルスの検出はリアルタイムPCRによる量的PCR(qPCR)によって行い、分布と同時にウイルスの増殖の状況を把握し、野外における寄主植物との関係を分析する。ここでは、プライマーの特異性が重要なポイントとなるため、必要に応じて設計の見直しを行い、信頼性の高いものを完成させる。これにより、室内実験における寄主植物影響並びに紫外線影響の分析手法を確立する。これらをもとに、計画書に示した作業仮説の検証を行っていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

本年度はウイルスの全塩基配列の決定に時間が掛かったため、野外におけるウイルスの分布調査に使用する予定の旅費の使用が減少したのが、次年度使用額が生じた主な要因である。次年度使用額については、次年度のサンプリング調査において活用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ミカンハダニから見つかったピコルナ様ウイルスについて2019

    • 著者名/発表者名
      刑部正博
    • 学会等名
      第28 回日本ダニ学会大会

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公開日: 2021-01-27  

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