研究課題
令和2年度の研究成果から、青枯病菌OE1-1株のクオラムセンシング (QS)により産生が誘導されるアシルホモセリンラクトンは、OE1-1株では細胞間情報伝達に関わるのでなく、細胞内情報伝達に関わると考えられた。そこで、令和3年度は、「QS 機能の FB 制御に関わる2次代謝物質を感知する2成分制御系の同定」と「QS 機能の FB 制御に関わる青枯病菌細胞間シグナル伝達系の解明」に注力した。PhcSとVsrAによるヘテロ型センサーヒスチジンカイネース (SHK)のQSシグナルmethyl 3-hydroxymyristate (3-OH MAME)の受容によりリン酸化されたレスポンスレギュレータPhcQとPhcRにより、QSに依存した遺伝子の発現制御を行うLysR型転写制御因子PhcAが機能化された。これとは独立して、PhcSはSHKであるPhcKとともに、phcA遺伝子の発現制御に関わることを明らかにした。PhcA、VsrAおよびPhcKは、自己リン酸化ヒスチジンを230、256および205番目のアミノ酸残基それぞれに保有していた。そこで、それらをグルタミン酸に置換した変異株PhcS-H230Q、VsrA-H256QおよびPhcK-H205QをOE1-1株から作製し、これらのQS能を解析するとともに、トランスクリプトームをRNA-seqにより解析した。PhcS-H230Qのみが、OE1-1株と比較して、phcA遺伝子の発現が著しく低下し、QS依存遺伝子の発現制御が崩壊して、QS能が著しく低下した。すなわち、PhcQとPhcRのリン酸化に関わるPhcSとVsrAによるヘテロ型SHKの自己リン酸化とともに、phcA遺伝子の発現制御に関わる、PhcSとPhcKによるヘテロ型SHKの自己リン酸化は、いずれも、PhcSの230番目のアミノ酸残基ヒスチジンであると考えられた。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 5件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 1件)
Molecular Plant Pathology
巻: 23 ページ: 679~692
10.1111/mpp.13189
Frontiers in Plant Science
巻: 13 ページ: 890877
10.3389/fpls.2022.890877
Physiological and Molecular Plant Pathology
巻: 116 ページ: 101724~101724
10.1016/j.pmpp.2021.101724
Plant Biotechnology
巻: 38 ページ: 373~378
10.5511/plantbiotechnology.21.0624a
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
巻: 85 ページ: 2224~2231
10.1093/bbb/zbab149
巻: 22 ページ: 1538~1552
10.1111/mpp.13124
Molecular Plant-Microbe Interactions?
巻: 34 ページ: 1228~1235
10.1094/MPMI-07-21-0168-SC
巻: 34 ページ: 720~725
10.1094/mpmi-11-20-0325-SC
植物感染生理談話会論文集
巻: 55 ページ: 74~84