研究課題/領域番号 |
19K22313
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
花田 耕介 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (50462718)
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研究分担者 |
柘植 尚志 中部大学, 応用生物学部, 教授 (30192644)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 共生菌 |
研究実績の概要 |
本研究では、低リン状態で生育しているシロイヌナズナに感染し、リン供給を助ける役割を果たす糸状菌(Colletotrichum tofieldiae、Ct菌)を共生菌として利用する。共生では、お互いの生長のバランスが必要になるため、植物体は、共生菌が必要な状況か、共生菌の不必要な状況か、を共生菌に伝達する分子メカニズムが存在すると考えられる。偶発的ではあるが、先行研究の結果、植物由来の分泌性ペプチドの中に、糸状菌の形態を変化させるものがあることを見出している。これは、植物由来の分泌性ペプチドが、糸状菌に、情報を伝達しているペプチドである可能性が高いと考えた。そこで、候補として挙げられている糸状菌の形態を変化させる一つのペプチドに着目し、これがCt菌の共生誘導を示すかを、明らかにする。そこで、一つのペプチドを過剰に発現させる形質転換体と発現を抑制させる形質転換体を構築し、Ct菌の共生を変化させるを確認した。その結果、過剰に発現させる形質転換体では、リン濃度が高い時にも低いときの培地でも、生長を促進させる傾向が高いことをが見出された。一方で、発発現抑制させる形質転換体では、リン濃度に依存せずに、共生菌による成長は大きく変化しなかった。 また、リン以外の供給をCt菌が助ける役割を持つかを明らかにするために、Ct菌が植物に供給するイオンを網羅的に調べた。その結果、リン以外の供給も促進していることを示唆する結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
網羅的なスクリーニングは実施が難航しているが、着目しているひとつの形質転換体で、共生効果を変化させる可能性があるものを見出したため、順調にいっていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
網羅的なスクリーニングを実施するよりも、現在見出されている、形質転換体が共生にどのように関わるかを明らかにすることに着目した研究を推進する予定でいる。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、実施できなかった生理学的実験を実施する予定でいる。
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