研究課題/領域番号 |
19K22316
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
堀越 智 上智大学, 理工学部, 准教授 (50424784)
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研究分担者 |
鈴木 伸洋 上智大学, 理工学部, 准教授 (50735925)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | マイクロ波 / 植物外的刺激 / 植物育成 / パルス |
研究実績の概要 |
本申請では、植物へ与えるマイクロ波刺激法において、(i)高精度マイクロ波装置の試作、(ii)マイクロ波パルス波照射の最適条件の探索、(iii)マイクロ波刺激法の効果に関与するメカニズム解明、(iv)照射条件の汎用性について研究を行うものとする。 本年度は、(i)高精度マイクロ波装置の試作、(ii)マイクロ波パルス波照射の最適条件の探索、(iii)マイクロ波刺激法の効果に関与するメカニズム解明(途中)を行った。(i)は小型半導体式発振器が入手できたため順調に試作が進み、マイクロ波をマイクロ秒のパルス照射ができる装置を完成させた。(ii)の実験もスムーズに進めることができた。マイクロ波の照射条件は、マイクロ波出力、マイクロ波照射時間、パルス条件(周波数、パルス幅、デューティー比)、電場の効果、磁場の効果などを検討し、体系化した。この実験から、マイクロ波の最適条件は、電場強度を最大にし、10W以下で1 秒のマイクロ波照射、または10 W以下で照射回数の積算が100回以下になる条件が、植物へマイクロ波が与える最適条件であることが分かった。一方でデューティー比は効果に関与しないことが分かった。 実験前に仮説を立てたパルス条件が、マイクロ波による効果を及ぼし、決してマイクロ波連続照射では、この様な効果を引き出すことができないことが分かった。 この実験で得られたシロイヌナズナをモデルとしたサンプルは、メタボローム解析を行うことができ、その解析より、大まかにはマイクロ波の照射を行った植物はアミノ酸合成の活性が増加し、中でもトリプトファンの増加が多いことも分かった。この解析による考察は途中であり、今後さらに深く考察を行うと共に、他の分析の結果とすり合わせを行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
小型半導体式発振器が入手できたため、装置の試作を予定より早く進めることができた。これにより、最適パルス条件の検討についても前倒し予定で進めることができ、当初の仮説に一致した条件で結果を得ることができた。これにより、2019年中にメタボローム解析を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
現在、メタボローム解析の解析を基に、考察を行っている。これを基として、マイクロ波照射をしたことで、「植物に何が起きたのか?」についてメカニズムの解明を行う。この過程で、分子生物的手法を用いた確認実験も行う。考察がまとまった後、(iv)照射条件の汎用性について研究を行うものとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
マイクロ波装置の部品が予定より安価に入手できたため。差額は分子生物学的分析で使用する試薬や消耗的器具を購入する。
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