研究課題/領域番号 |
19K22316
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
堀越 智 上智大学, 理工学部, 教授 (50424784)
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研究分担者 |
鈴木 伸洋 上智大学, 理工学部, 准教授 (50735925)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | マイクロ波 / 植物外的刺激 / 植物育成 / パルス |
研究実績の概要 |
本申請では、植物へ与えるマイクロ波刺激法において、(i)高精度マイクロ波装置の試作、(ii)マイクロ波パルス波照射の最適条件の探索、(iii)マイクロ波刺激法の効果に関与するメカニズム解明、(iv)照射条件の汎用性について研究を行うものとする。 本年度は、昨年度作成した装置を用いて、同様に昨年度算出した、マイクロ波パルス波照射の最適条件の探索結果を元に、マイクロ波刺激法の効果に関与するメカニズム解明を行った。 初年度の達成度が予定以上であったが、令和2年度は新型コロナウイルスの影響で、植物の育成、分析、装置修理に大きな障害が生じ、予定していた実験を完全に終わらすことができなかった。 ただ、このような状況ではあったが、研究実績としてメタボローム解析をより詳細に考察することで、マイクロ波照射の影響は窒素固定に影響を与えることが分かった。また、一部のアミノ酸量が増えていることから、栄養学的利点が向上巣売ることが分かった。 一方でマイクロ波照射条件と外気温の関係を明確にした。マイクロ波を照射した植物を低温(0℃)で育てると、低温によるストレスの影響が和らげられ、枯れにくくなることが観測された。この観察結果はトランスクリプトーム解析(RNAシーケンス)の結果と照らし合わせることで、どのようなメカニズムで進行したかを考察する予定である。 すでに、研究の延長申請に基づいて実験を継続し、目的達成のために最終年度の研究に挑みたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初年度の達成度が予定以上であったが、新型コロナウイルスの関係で予定通り植物の育成や分析をすることができなかった。また試作した装置の一部に問題があり、その修理に必要な部品の供給が困難であったことから(新型コロナウイルスの関係)、予定していた実験を完全に終わらすことができなかったことが理由である。しかし、継続申請をした最終年度でこれを達成させることが可能であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、令和2年度に達成できなかった実験を実施する。具体的には、 (1) 最適条件でマイクロ波刺激を行ったシロイヌナズナとコントロール(未マイクロ波処理)や成長観察に差が生じなかったマイクロ波刺激体との比較を、トランスクリプトーム解析(RNAシーケンス)、各種遺伝子発現解析を行い、分子生物学的観点からマイクロ波刺激のメカニズム解明を行う。 (2) 実験室で得られた最適条件が、実用植物でも実証できることを確認する。 解析した全データーを統合し、本技術がプロセス化できることを明確にする。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の達成度が予定以上であったが、新型コロナウイルスの関係で予定通り植物の育成を行うことができなくなったことや、試作装置の部品入手が困難であったことから、予定していた実験や分析を完全に終わらすことができなかっため、次年度使用額が生じた。この研究費は装置の改善に使用する予定である。
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