本研究では、サバにおける迅速かつ非侵襲的な性判定法として高解像度超音波画像診断による海産魚の成熟度定法の開発を試みた。 本年度については、これまでに蓄積した画像診断データの更なる蓄積を目的として、組織学的解析で性判別が可能な3ヶ月齢、非産卵期および産卵期の1歳マサバを供試魚として、超音波画像診断を実施した。 その結果、産卵期の1歳マサバについては、高い正確性(正答率95%以上)で超音波画像診断により雌雄の判定が可能となった。しかし、生殖腺の発達が不十分であった3ヶ月齢のサバでは判定が困難であった。 しかし、我々これまでに、マサバの性特異的な遺伝子領域を標的としたを、性判別PCR法を樹立している。この方法を用いれば、どの成熟段階のマサバあるいはゴマサバの性判定を95%~100%の精度で判定可能であった。 本年度はさらにこのPCR法に判別の範囲を拡大し、日本各地のサバに対して調査を行ったところ、日本近海で水揚げされるサバ系郡については、等しく高い精度で判定が可能であることが明らかとなった。 この技術は未熟な個体の性判定が可能であるというメリットの反面、成熟の度合いについては評価できない。そのため、前述の超音波による画像診断をもとにした成熟度判定を組み合わせることで、質の良い卵を産む親魚を判別する技術の開発を試みる。
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