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2020 年度 実施状況報告書

小型水槽で海産仔魚飼育を実現するための生物流体力学

研究課題

研究課題/領域番号 19K22338
研究機関長崎大学

研究代表者

阪倉 良孝  長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (20325682)

研究分担者 山崎 渉  長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (50598696)
角田 哲也  大島商船高等専門学校, 商船学科, 教授 (00163056) [辞退]
研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2022-03-31
キーワード種苗生産 / 海産魚 / 小型水槽 / 流体力学
研究実績の概要

昨年度は水量(50 L)とアスペクト比(水槽面積/水深)を揃えた円筒形水槽(表面積1700平方センチメートル,水深30㎝)と矩形水槽(表面積1800平方センチメートル,水深28㎝)を用い,通気装置を水槽中央底に設置して通気量を変えて異なる流場を形成し,汎種苗生産魚(マダイ)と難種苗生産魚種(クロマグロ)の孵化仔魚を収容して,孵化後10日齢まで飼育実験を繰り返し実施した。その結果、マダイとクロマグロともに100 mL/分の通気量で比較的安定した生残率が得られた。
本年度はさらに、矩形水槽に通気装置を2基設置したものを加えた総計3種の水槽でマダイ仔魚の飼育実験を実施し、14日齢までの生残と成長を調べるとともに、水槽中の流れを測定してSMAC法で水槽中の流れのモデルを作成して水槽間での比較を行った。その結果、円筒形水槽と矩形水槽にそれぞれ通気装置を1基設置した場合の生残率(約55%)が、矩形水槽に2基の通気装置を設置した場合(29%)より有意に高かったが、仔魚の成長と形態に有意差は検出されなかった。また、仔魚の鰾開腔率は矩形水槽(平均90%)よりも円筒形水槽(平均59%)の方が低い傾向にあった。水槽内の流れを調べた結果、マダイ仔魚の遊泳速度(4.6 mm/sec)よりも遅い流速の体積は、円筒形水槽では8.6 %と矩形水槽のそれら(15.3-15.9 %)のおよそ半分であり、表面においても同様の傾向のあったことが鰾開腔率の低さと関係していると考えられた。
さらに、矩形水槽に棒状の通気装置を、水槽底短辺、水槽底長辺、水槽底短辺の両端、に置いてクロマグロ仔魚の飼育実験を実施したが、いずれも通気装置を水槽底中央に置いたものと同等かそれより低い生残率であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナ禍ではあったが、計画した実験をほぼ全て実施することができ、さらに成果の一部を国際学術誌に公表することができた。
このことから、概ね順調に進展していると評価した。

今後の研究の推進方策

これまで使用した水槽よりも小型の改良型クライゼル水槽(容量10 L未満)を用いて仔魚飼育実験を行い、最も仔魚の死亡率の少ない水槽形状と通気方法の特定を行う。これらの水槽内の流場も今年度と同様の手法を用いてモデル化する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍で出張旅費が必要とならなかったことから残が生じた。来年度の実験装置の拡充や今後の成果発表の費用に充てたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Effects of tank shapes and aerations on survival, growth and swim bladder inflation of red seabream Pagrus major larvae2020

    • 著者名/発表者名
      Aung Naing Win、Yamazaki Wataru、Sumida Tetsuya、Hagiwara Atsushi、Sakakura Yoshitaka
    • 雑誌名

      Aquaculture Reports

      巻: 18 ページ: 100451~100451

    • DOI

      10.1016/j.aqrep.2020.100451

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2021-12-27  

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