• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

グリーンインパルス:緑色光により駆動される魚類脳神経ネットワークの解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K22340
研究機関北里大学

研究代表者

高橋 明義  北里大学, 海洋生命科学部, 教授 (10183849)

研究分担者 阿見彌 典子  北里大学, 海洋生命科学部, 講師 (20588503)
清水 大輔  国立研究開発法人水産研究・教育機構, 東北区水産研究所, 主任研究員 (40443361)
水澤 寛太  北里大学, 海洋生命科学部, 准教授 (70458743)
研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2021-03-31
キーワードホシガレイ / 緑色光 / 神経ペプチド / メラニン凝集ホルモン / c-fos
研究実績の概要

緑色光により駆動される脳細胞を,ホシガレイを実験魚として,神経細胞活性化のマーカーであるc-fosを指標として探索することを目的とした。
1.緑色光とc-fos遺伝子の発現:脳内c-fos遺伝子の発現量に及ぼす緑色光照射の効果を調べた。①緑色光(光量子束密度 10μmol/m2/s)照射下でホシガレイを飼育した。緑色光は環境光(窓からの自然光灯と天井からの白色LED光)に追加した。②上記とは別に,3段階の光量子束密度(5,10および15μmol/m2/s)の緑色光下でホシガレイを飼育した。以上のように飼育したホシガレイ脳におけるc-fos遺伝子の発現量を逆転写定量ポリラーゼ連鎖反応法により求めた。その結果,いずれの飼育試験においても緑色光照射区と対照区(環境光区)の間に発現の差異は認められなかった。
2.ホシガレイ脳のc-fos産生ニューロン:免疫組織化学染色法によってホシガレイ脳のc-fos産生細胞体を同定するために,市販のc-fos抗体の特異性をウェスタンブロッティング法によって検討した。しかし,ホシガレイ脳の抽出物中にc-fosを特異的に検出する抗体を見出すことができなかった。
3.上記1と2の結果により,ホシガレイにおいてc-fosを指標にすることは困難であることが判明した。そこで,緑色光の刺激を仲介すると想定している,メラニン凝集ホルモン(MCH)の摂餌行動ならびに脳内神経ペプチド遺伝子発現への効果を調べることとした。麻酔下で頭部にドリルで開けた穴からMCH(0.5および2.5 nmol/g 体重)をホシガレイの脳脊髄液内に投与し,投与後の摂餌量を求めた。その結果,2.5 nmol投与区の摂餌量に減少が認められた。この結果は,MCHが食欲亢進作用を有するという前提条件とは全く異なるため,緑色光と脳内神経ペプチドの関係について,今後さらなる検証が必要となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

「カレイの成長が緑色光照射により促進される」。この,申請者らが発見した極めて興味深い生命現象の解明のために,神経活動の指標となるc-fos遺伝子の発現をメルクマールとして,緑色光により活発になる脳細胞の特定,その脳細胞で発現する神経ペプチド遺伝子,さらにこれらの細胞で構成される脳神経ネットワークの解明を目的とした。
中心となる神経ペプチドは食欲を亢進すると想定しているメラニン凝集ホルモン(MCH)であるが,本年度の研究によりMCHがホシガレイの食欲を抑制することを示す予備知見を得た。これは本研究を遂行するための発想に大転換を促す,極めて意外な成果である。しかしながら,食欲調節に係わるMCHを軸として研究を進めることに変わりはなく,むしろセレンディピティともいえる,挑戦的研究に相応しい価値ある結果である。

今後の研究の推進方策

メラニン凝集ホルモン(MCH)を軸に研究を進めることに変わりはないため,MCHを脳脊髄液に投与したホシガレイの神経ペプチド遺伝子の発現動態を究明する。また,c-fosの活用が困難であることが判明したことから,緑色光を照射したホシガレイの脳における神経ペプチド遺伝子の発現動態を網羅的に解析し,緑色光に駆動される,MCHを軸とする脳神経ネットワークの解明に資する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] Visual and endocrine systems mediating green-light effect on fish growth2020

    • 著者名/発表者名
      Takahashi, A., Shimizu, D., Satoshi, K., Mizusawa K. Visual and endocrine systems mediating green-light effect on fish growth
    • 学会等名
      The 97th Annual Meeting of the Physiological Society of Japan
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi