研究課題/領域番号 |
19K22346
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤澤 和謙 京都大学, 農学研究科, 准教授 (30510218)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | Darcy流れ / Navier-Stokes流れ / 室内実験 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,Darcy/Navier-Stokes連成流れ(以下,Darcy/NS連成流れと称する)について精緻な実験研究を進めることにある.Darcy/NS連成流れとは,多孔質体中の浸透流(Darcy流)と流体のみによって占められた領域(流体領域)の流れ(Navier-Stokes流)が同時に生じる流況を意味する.例えば,堤防を越流した河川水が堤防表面(流体領域)を流下すると同時にその内部(多孔質体)へと浸透する流れや,自然斜面に存在している亀裂・空洞部(流体領域)に雨水が流入しながら,斜面内部(多孔質体)へと浸透する流れなど,水と土が接触する状況においてDarcy/NS連成流れは頻繁に発生する.この研究の中では,従来は別々に研究されてきた異なる二つの流れを接続する現象物理の基礎研究を深化させ,学祭的に利用される研究成果の発信を目論んでいる. 実験では,円筒形状の水路を用い,主流方向に対して軸対称にすることで,面的な計測によって全体の流況を把握する.これは,レーザーPIV流速測定を行うためである(レーザーPIV流速測定は,レーザーシートを照射し,そのシートに写る微粒子の移動速度をPIV処理することで流速が計測される.流速は面的に瞬時計測され,高精度測定が可能であるが,計測領域はレーザーシート上の2次元平面に限られる).流体領域の流速,多孔質領域の水頭と流量を測定し,多孔質領域の長さと直径を変化させ,多様な流れを想定する. 当該年度においては,実験装置の設計とDarcy/NS連成流れ計算の改良に取り組んだ.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度においては,Darcy/Navier-Stokes連成流れを測定する実験装置の作成に重点を置いた.実験装置の設計を終え,現在,作成中の段階にある.予定では,年度内の完成を予定していたため,「やや遅れている」と判断する。現在の問題は,流体領域のNavier-Stokes流れと浸透流速の両者を測定できる範囲の透水性を有する多孔質領域を準備することにある.均一かつ十分な強度(変形しにくい固形材料)を有する必要があり,この問題を解決することに時間を要した. 本研究課題では実験結果と数値計算との比較を行うが,数値計算については,乱流モデルを組み込んだNavier-Stokes流れとDarcy流れの連成計算プログラムの改良を行った.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では,(1)Darcy/Navier-Stokes連成流れの高精度計測,(2)Darcy流とNavier-Stokes流の接続モデルの構築,(3)Darcy/NS連成流れ計算の検証,の3つの課題を遂行する.現在,実験装置の作成が,やや遅れているものの,土質材料を樹脂によって固化することで,実験に適用できる多孔質領域を準備できる予定である.これにより,実験実施段階に移行し,上述の1番目と2番目の研究課題を遂行する.また,数値計算に関しては,順調に実施できており,このペースを続ける.
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に実験装置の作成を完成させる予定であったが,実験に適する透水性と強度を有する多孔質領域の作成に問題が生じた.現在,その解決策にたどり着いているものの,次年度に実験装置を完成させるにあたり,次年度使用額が生じた.また,当該年度の3月に予定していた国際会議が新型コロナウィルスの世界的蔓延のため延期となり,旅費の執行に遅れが生じた.
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