長く伸びる神経突起を持つ神経細胞では、一部のmRNAを細胞体で翻訳するのではなく、神経突起上に輸送し、刺激に応じて局所的に翻訳し蛋白を供給しており、この機能が、脳における認知・記憶・学習等の高次生命機能に重要であると考えられている。本研究では、特定の神経向性フラビウイルスでは、ウイルスRNAが神経突起内を局所翻訳機構により輸送・翻訳されている事を利用して、局所翻訳特異的な発現ベクターの開発を目的として、外来遺伝子を発現する組換えウイルスを作成した。作成したウイルスにより、脳内において外来遺伝子の発現が認められ、局所翻訳特異的な発現ベクターとして応用可能である事が示された。
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