研究課題/領域番号 |
19K22354
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
玄 学南 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (10292096)
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研究分担者 |
正谷 達謄 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 准教授 (70614072)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | トキソプラズマ / タキゾイト / ブラディゾイト / ステージ変換 / 抗ウイルス / 自然免疫 |
研究実績の概要 |
本研究では、培養細胞や実験動物を用いた原虫-ウイルス共感染実験によって、トキソプラズマ潜伏感染がウイルスの増殖や 病原性に及ぼす影響を明らかにする。当該年度に得られた成果は下記の通りである。1)自然免疫に関与する宿主転写因子に注目して研究を行った。間接蛍光抗体法によりトキソプラズマ潜伏感染ヒト線維芽細胞におけるSTAT1の局在ならびにリン酸化を評価した結果、高pHによるブラディゾイトへの誘導を行った感染細胞ではSTAT1の核内移行が認められた。一方、通常のpHのまま培養することでタキゾイトのままにした場合、感染細胞ではSTAT1の核内移行が認められなかった。したがって、トキソプラズマのブラディゾイトステージ虫体は感染細胞のSTAT1を活性化することで抗ウイルス自然免疫応答を活性化させている可能性が考えられた。2)次に、トキソプラズマ潜伏感染が誘導する抗ウイルス自然免疫応答にSTAT1が担う役割を調べる目的で、CRISPR/Cas9に基づくゲノム編集によりSTAT1欠損細胞の作出を試みた。Cas9蛋白質およびガイドRNAを同時に発現できるpX330ベクターに、ピューロマイシン耐性遺伝子及びヒトSTAT1をターゲットとしたガイドRNA配列を組み込み、ヒト由来293T細胞に導入した。ピューロマイシンによるセレクションののち、クローニングし、ウェスタンブロットによってSTAT1が欠損していることを確認した。この細胞にトキソプラズマを潜伏感染させようと試みたが、高pHの条件では細胞が死滅してしまった。そのため現在、構築したプラスミドをヒト線維芽細胞に導入し、欠損細胞を作製している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに進展し、所期の成果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、STAT1欠損株における虫体ステージ変換の条件検討を詳細に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた研究打合せのための旅費が未使用のため。
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