研究課題
挑戦的研究(萌芽)
鳥白血病ウイルス(ALV)性心筋異常の形成機序を解明するため,ALV感染鶏胚からiPS細胞を作製した。このiPS細胞には複数のALV株が感染していることが判明し,RNA-seq解析を行うことができなかった。一方,黒毛和種牛の多発性先天性血管腫から無限分裂細胞を作製することができ,RNA-seq解析によって本腫瘍ではTNF signaling pathwayの異常とTNFRSF6B遺伝子の過剰発現が生じていることが明らかになった。
獣医病理学
iPS細胞および無限分裂細胞は異常な細胞を生きたまま保存できることから,原因不明の疾病研究や発がん機序解明への応用が期待されているが,ヒトを含め成功例は少ない。そこで,今回レトロウイルス性腫瘍からiPS細胞を,非ウイルス性腫瘍から無限分裂細胞を作製し解析を試みた。ウイルス性腫瘍の解析には改良が必要であるが,少なくとも無限分裂細胞化技術は動物疾病,特に稀な動物腫瘍の細胞レベルの解析を容易にすることから,今後の応用が期待される。