• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

動物の誕生の仕組みを知る、新規母性効果変異体スクリーニング

研究課題

研究課題/領域番号 19K22376
研究機関北海道大学

研究代表者

小谷 友也  北海道大学, 理学研究院, 准教授 (70419852)

研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2022-03-31
キーワード母性因子 / 卵母細胞 / 受精卵 / 初期発生 / 母性効果変異体 / 遺伝子挿入変異 / トランスポゾン
研究実績の概要

配偶子の卵子には初期発生に必要なほぼすべての因子が準備されており、その形成は動物の誕生に極めて重要である。近年のゼブラフィッシュを用いた研究で、卵子は1万種類を超える転写産物を蓄えることが明らかとなった。本研究はこの卵子に蓄積される転写産物の働きを知るために、最適化された新規の母性効果変異体スクリーニング法を確立することを目的とする。本年度の研究によって、新たに5系統の遺伝子挿入部位を解析し、それぞれの挿入部位をゼブラフィッシュ・ゲノムにマップした。さらに、2系統において遺伝子挿入をホモ2倍体にもつ個体を作出・同定した。その中の1系統であるh116A系統では、遺伝子トラップベクターはcitと呼ばれる遺伝子のイントロンに挿入され、上流の転写産物をトラップしていた。ヒトにおいてこの遺伝子に変異が入った場合、遺伝病の原因となることが知られている。ホモ2倍体のメスは生存可能であるものの、不妊であった。その原因として卵母細胞の形成不全が起こっていると見られ、その詳細な解析を現在進めている。さらに、新たな遺伝子挿入個体を作成するため、受精卵への微量注入と遺伝子挿入個体のスクリーニングを進めている。本年度は特に、遺伝子トラップベクターの挿入により母性効果変異体の作出に成功したという点で、大きく研究が進展したと言える。総括すると、本研究における新規母性効果変異体のスクリーニング法が有効であり、その実施によって卵形成と胚発生の新たな仕組みを解き明かせることを示すに至った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度までの研究によって、数百を超えるゼブラフィッシュ受精卵に遺伝子トラップベクターを微量注入し、200近くの個体について遺伝子トラップの有無をスクリーニングした。その結果、ゲノムに遺伝子挿入を持つ41系統のゼブラフィッシュを単離することに成功し、その遺伝子挿入部位を数多く同定した。解析の結果、これら遺伝子挿入はゼブラフィッシュ遺伝子の内部に挿入されていること、上流の転写配列をトラップしていることを示してきた。さらに、母性効果変異体の同定に成功し、本研究の新規母性効果変異体スクリーニングが極めて有効であることを示すに至った。今後、多くの母性効果変異体を同定し、本スクリーニングの効率を示すとともに、卵形成と初期発生に重要な新たな分子機構の解明につながると期待される。以上の理由により、上記の判断となった。

今後の研究の推進方策

本年度までの研究で、新規の母性効果変異体スクリーニングは母性効果変異体を効率的に同定することが可能であることを示すに至った。今後、引き続き遺伝子トラップ系統の単離を進めるとともに、現在までに単離した系統の遺伝子挿入部位の同定を進める。さらに、遺伝子挿入をホモ2倍体に持つ個体を作出し、卵形成と初期発生におけるそれら転写産物の機能を解析する。すでに得られた母性効果変異体を詳細に解析し、卵形成と初期発生を制御する新規の分子機構を解明する。

次年度使用額が生じた理由

(理由)
令和2年度において使用する試薬の一部に在庫が存在し、新たな購入に遅れがあったため。
(使用計画)
令和3年度の研究実施に必要な試薬を購入する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ゼブラフィッシュ初期発生におけるpou5f3翻訳の時空間制御機構の解析2021

    • 著者名/発表者名
      佐藤圭祐、小谷友也
    • 学会等名
      日本動物学会第65回北海道支部大会

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi