研究課題
私たちが開発した接触バブル2重膜法に様々な工夫を行った結果、膜物理測定のための方法論としてほぼ完成の域に達した。膜張力は広い範囲で変化させ、さらに膜電位ステップ負荷に対する応答を捉えた。画像解析などの方法を確立し、莫大な量のデータを処理するために、物理化学的特性を組み込んだプログラムを作成した。その結果、張力の高速測定が可能になり、膜電位に対する過渡的応答を詳細に解析した。そして、従来見落とされていた膜動態を高分解能で捉えることに成功し、物理化学原理を基にした詳細な解析を行い、膜物性を明らかにした。チャネルに関しては従来のKcsAカリウムチャネルだけでなく、アクアポリン・TMEM16Fを含めた数種類のチャネルの実験と解析を進めた。従来の脂質平面膜法にくらべチャネル再構成という点だけから見ても格段に効率を上げることができたので、膜脂質組成を変えるなど様々な実験を行うことができた。それぞれのチャネルで見つかる新しい現象に対応する解析法を工夫することによって、従来捉えることのできなかった新しい現象を発見することができた。チャネル形成毒素は実験的に膜挿入が最も簡単なチャネルであり、膜の厚さが変化したときにどのように活性が変わるかを実験し定量的な解析を行った。さらに膜挿入過程を分子動力学シミュレーションによって再現し、そのクリティカルなステップを解明することに成功した(Kalathingal et al. Biophys. J. 2021)。
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BioRxiv
巻: - ページ: -
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