超長鎖脂肪酸は、総脂肪酸量のわずか数%しか存在しないにもかかわらず、長鎖脂肪酸には代替できない重要な生理的な働きがある。そのひとつが皮膚のバリアー機能である。超長鎖脂肪酸はセラミド(スフィンゴシンと脂肪酸が結合したもの)として皮膚の脂質膜に含まれることが知られている。しかし、細胞内での、超長鎖脂肪酸の局在や機能など多くの問題が謎のままであった。本研究により、皮膚のない生物である分裂酵母でも、超長鎖脂肪酸が存在し、生存に必須の働きをすることが分かった。さらに、その合成酵素は核膜やER膜に存在し、その活性は、核膜構造の維持を通して、ゲノムの安定維持に働くことが分かった。
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