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2020 年度 実施状況報告書

葉緑体からミトコンドリアへの細胞内遺伝子移行の検証

研究課題

研究課題/領域番号 19K22405
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

小田原 真樹  国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (40460034)

研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2022-03-31
キーワード葉緑体 / ミトコンドリア / 遺伝子移行
研究実績の概要

今年度は、既に作製した葉緑体DNAにミトコンドリアマーカーを保持するタバコ葉緑体形質転換体を用いて、薬剤によるミトコンドリア形質転換体の選抜を行なった。上記タバコ葉緑体形質転換体の葉を用いて、昨年度最適化した薬剤選抜条件においてシュート再生を誘導した結果、薬剤に耐性を示す植物体を複数株取得した。これらをミトコンドリア形質転換体候補として以降の解析を進めた。これらの植物体は選抜条件において比較的正常な生育を示したものの、発根が一部阻害されていたことから、完全な薬剤耐性ではないと考えられる。これらの植物体から全ゲノムDNAを抽出し、ミトコンドリアマーカー部位のプローブを用いてサザンブロット解析を行った結果、これらの候補株の一部からは、葉緑体ゲノム由来するシグナルに加え、マーカー遺伝子の転位を示唆する付加的なシグナルが検出された。これは、葉緑体DNAに挿入されているミトコンドリアマーカー遺伝子が他の座位に転移したことを示唆する。同様の付加的なシグナルは形質転換体候補の次世代(T1)においても検出されたことから、転移したマーカー遺伝子はこれらミトコンドリア形質転換体候補において安定的に維持されていると考えられる。ミトコンドリアへのマーカー遺伝子の挿入はランダムに起きると予想されるため、ミトコンドリアゲノムに挿入されたマーカー遺伝子を同定するPCR法を開発した。現在このPCR法を利用して、ミトコンドリアゲノムに転移したマーカー遺伝子の同定を行なっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画通りにミトコンドリア形質転換体候補を取得することができている。しかしながら、得られた形質転換体は完全な薬剤耐性を示さないため、低い割合のヘテロプラスミックな状態であると予想される。そのためミトコンドリアに移行したマーカー遺伝子の検出法の改良が必要であると考えられる。

今後の研究の推進方策

引き続き、取得したミトコンドリア形質転換体候補のミトコンドリアゲノムに挿入されていると考えられるマーカー遺伝子の同定を行う。現在行なっているPCR法を利用した同定法はノイズが多いため、プライマーや反応条件等を再考し、改良を試みる。一方で、ミトコンドリアゲノムへのマーカーの組み込み効率の向上を期待して、葉緑体に挿入するミトコンドリアマーカー遺伝子両端にミトコンドリアゲノム相同配列を付加した植物体を作製し、この植物体を用いて再度ミトコンドリア形質転換体の選抜を行う。得られるミトコンドリア形質転換体候補では、ミトコンドリアゲノム上の特定の位置にマーカー遺伝子が挿入することが期待されるため、その同定が容易であると考えられる。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナの影響で一時的に研究活動を大幅に縮小したため、今年度の消耗品等の使用が予定よりも少なくなった。また、学会等も中止や延期が多く、予算の繰越しが生じた。
繰り越した予算に関しては、次年度予算と合わせ、学会参加や消耗品等に充当する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Holliday Junction Resolvase MOC1 Maintains Plastid and Mitochondrial Genome Integrity in Algae and Bryophytes2020

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi Yusuke、Odahara Masaki、Sekine Yasuhiko、Hamaji Takashi、Fujiwara Sumire、Nishimura Yoshiki、Miyagishima Shin-ya
    • 雑誌名

      Plant Physiology

      巻: 184 ページ: 1870~1883

    • DOI

      10.1104/pp.20.00763

    • 査読あり

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公開日: 2021-12-27  

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