ゲノムにプロファージを保持している細菌では、集団全体の1%程度の割合で細胞壁を失った細菌が出現することを我々は見出した。細菌は細胞壁を失うと、通常の細菌とは大きく異なる性質を発揮することが考えられるが、これまでに検証されてこなかった。本申請課題では、細胞壁を失った細菌の基礎的性状を明らかにすることを目的とした。細胞壁を失った細菌の出現頻度は低いため、培養条件の最適化を行い、全体の90%近くの細胞が細胞壁を失って生存する培養系を構築した。このような細胞はグラム陰性菌とグラム陽性菌の両者で出現することも明らかにし、解析の結果、一種の休眠状態になっていることが示唆された。
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