本研究では、近年我々が発見した「異なる細胞種間の直接接触を介したmRNAの伝搬機構」の解明を通じて、外来遺伝子の導入などの従来手法に依存せずに、細胞の運命を転換するための全く新しい細胞操作技術を構築することを目的としている。 ヒトiPS細胞とマウスES細胞を共培養する系を対象として、1)ヒトiPS細胞内にマウスES細胞由来のmRNAの一部が直接接触を介して転送されること、2)転送後にヒトiPS細胞のナイーブ様転換が起こること、さらに、3)マウスES細胞に由来する転写因子をコードする特定のmRNAの転送がヒトiPS細胞のナイーブ様転換に必須であること、を明らかとした。
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