遺伝子変異マウスは遺伝子機能の解析に広く用いられているが、胎生致死になる変異体の7割が胎盤の異常による発生異常を示す。本研究では、遺伝子の胚特異的機能を解析するために、着床前胚の細胞分化機構を制御することにより、胚特異的に遺伝子変異をもつマウス胚を簡便に作り出す技術の開発を目的とした。4細胞期胚の1割球にPARD6BとGATA6の機能を抑制し、初期胚盤胞期まで培養後に子宮に移植して発生させたところ、胎生10.5日において胚が操作割球に由来する細胞のみからなるものが43%の効率で得られた。今後、この方法をゲノム編集と組み合わせることで、胚特異的な遺伝子破壊マウスを簡便に作成できると考えられる。
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