研究課題
植物は一度受けた高温の刺激に対して、順応するようになる。このことを高温順化という。地球の温暖化が予想されているため、植物が高温に順応するメカニズムを知り、人為的に調節することは食料の安定な供給のための必須の課題と言える。しかしながら、これまでのシロイヌナズナを用いた高温順化の実験は22度と30度を切り換えるような、フィールドでは植物が経験しない条件で解析が行われてきた。そのため、フィールドで生育する植物がどのような温度条件で、どのような因子によって高温順化するのかはわかっていなかった。そのため、これまでに研究を進めてきたJUMONJIタンパク質のフィールドによる重要性を評価することを目指した。2019年はフィールドの温度条件を再現した小型培養器でシロイヌナズナの野生型とjumonji突然変異体を生育し、トランスクリプトーム解析を行った。その結果、実験室の単純化した実験室条件で生育した場合よりも、フィールドの温度条件を再現した場合の方が、多くの発現変動遺伝子があることがわかった。実験室条件では、HSP20-LIKE遺伝子、HSP21遺伝子、HSP22遺伝子など8遺伝子が発現変動するHSP遺伝子として同定された。一方、フィールドの温度条件では、これら8つの遺伝子だけでなく、多くのsmall HSP遺伝子の発現も変動することがわかった。そのため、フィールドの温度条件でもJUMONJIタンパク質が高温への適応に応じて、重要な役割を果たすことが示唆された。
1: 当初の計画以上に進展している
2019年はフィールドの温度条件を再現した小型培養器でシロイヌナズナを生育し、トランスクリプトーム解析を行った。その結果、実験室の単純化した実験条件で生育した場合よりも、フィールドの温度条件を再現した場合の方が、多くの発現変動遺伝子があることがわかった。この研究成果をまとめ、論文を投稿している。
2020年度は、投稿している論文を公表するための追加実験を行う。レビューワーのコメントに従い、指定された追加実験を行う。また、フィールド条件における他の変異体の表現型のデータも合わせて取得する。
他の研究費で一部カバーできたため。また、前年度の旅費も一部計画を下回った。社会情勢を考慮しつつ、前年度行うことができなかった共同研究で必要な打ち合わせ、学会発表による成果の公表を随時行う。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件)
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