研究課題
本研究では植物のエピゲノムによる遺伝子発現を中心に解析した。エピゲノム因子であるJMJが抑制的ヒストン修飾であるH3K27me3を除去することで順化し、植物が高温を受けた経験をしばらく記憶して、次の高温ストレスを受けると高い適応力を発揮することを明らかにした。小型培養器SmartGCを用いて自然界における不規則な温度変動を再構成するプラットフォームを構築した。この系を用いることで、実験室の条件だけでなく、自然界おける変動する環境においても、JMJが抑制的ヒストン修飾であるH3K27me3を除去することが高温の経験の記憶による適応力の向上に必要であることを示した。当初の予定よりも研究は進展し、上記の内容をbioRxiv(https://doi.org/10.1101/2020.05.10.086611)に公開している。現在は、Nature Communicationsにその成果を投稿し、受理されている。上記の成果だけでなく、H3K27me3の除去とH3K4me3の導入のバランスを取る仕組み、HSP40遺伝子が高温順化を制御する仕組みを発見した。さらにGWAS解析によって、高温順化に関与する可能性がある遺伝子の候補を複数見出した。遺伝子の発現や転写だけでなく、各種代謝の重要性も新たに見出した。これらの解析を進めることで、エピゲノム・転写・代謝といったイベントがどのように協調的に制御されて、最終的な高温耐性の能力が決まるかが明らかになるだろう。
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Current Opinion in Plant Biology
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