研究課題
本研究の目的は、革新的な植物への遺伝子導入法を開発することである。これまで遺伝子導入にはアグロバクテリウムを介した方法やパーティクルガンを用いた方法などが知られているが、いずれも遺伝子を導入した細胞やカルスからの植物個体の再分化が必要で、再生の条件を検討するにあたって膨大な時間が必要である。そのため、多様な植物種に応用できる遺伝子導入技術の開発が望まれる。本研究では、花器官および花粉に着目した非モデル植物における新しい遺伝子導入法の確立を目的とする。 昨年度は、ハマウツボ科寄生植物コシオガマを用いて、マグネトフェクションによる花粉の形質転換を試みた。マグネトフェクションによる花粉の形質転換には、花粉に細胞壁の薄い領域が存在することが必要であると考えられているため、まず、走査型電子顕微鏡を用いて花粉の観察を行った。その結果、コシオガマの花粉は三溝粒構造をとっており、花粉の発芽は溝状の発芽孔から起こることが分かった。しかし、ワタ花粉のような穴状の発芽口が見られなかったため、ソニケーションにより人為的に傷をつける方法を試みた。ソニケーションにより、花粉の発芽率はほとんど低下しなかったが、花粉表面に削れた部分を電子顕微鏡下で観察することができた。次に、Cy3でラベルしたオリゴDNAをマグネットパーティクルに吸着させ、花粉への導入を試みた。蛍光顕微鏡で観察したところ、花粉内で蛍光を観察することができたため、オリゴDNAの導入は起こっていると考えられた。そこで、蛍光レポーターをコードするプラスミドDNAの導入を行なった。しかし、蛍光レポーター由来の蛍光を観察することはできなかった。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件)
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