研究実績の概要 |
本研究の目的は、キイロショウジョウバエで開発された既知の遺伝学的解析技術を巧妙に組み合わせることで、「2種類の異なる親細胞に由来する細胞集団で独立に遺伝子操作を行い細胞自律的・非自律的効果を同時に解析する技術」を開発することである。そのために、本研究では、成虫脳ニューロピルグリアを作り出す2つの細胞系譜、「L-EG細胞系譜」と「gcm細胞系譜」それぞれを独立に空間的かつ時間的細胞操作を行う遺伝操作システムを確立する。本年度はL-EG-LexA-DD, L-EG-LexA-GeneSwitch(GS), gcm-GAL4-DD, gcm-GAL4-GS系統を作成し目的とする細胞でリコンビネースを発現誘導する系、さらにUAS-FLP-DD, UAS-FLP-GS, lexA-op-KD1-DD, lexA-op-KD1-GS、Act-KOT-LexAの持つハエ系統を作成することであったが、より実現性の高い方法を考えて、ハエ作成の方法の一部修正を行った。DNAコンストラクションに時間を要したが、L-EG-LexA-DDならびにgcm+-cell-GAL4-DDのコンストラクションに成功した。 当初は、L-EG-LexA-GeneSwitch(GS)を作成する予定であったが、UAS-FLP-GeneSwitch系統を用いることでこれを代用することとした。また、成虫脳ニューロピルグリアをラベルするために、当初はActin>FOT>GAL4とActin<KOT<LexAによるラベルを予定していたが、より直接的にグリアのみをラベルするために、actinの代わりにグリア特異的なrepoさらに、ニューロピルグリアのサブタイプ特異的な、adult-ALG, Adult-EG特異的なエンハンサーを用いたコンストラクトの作成を行ったが、完成にはいたらなかった。
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今後の研究の推進方策 |
L-EG-LexA-DD, gcm+-cells-GAL4-DD, LexAop-KD1-DD, UAS-FLP-DD, UAS-FLP-switch, repo>FOT>GAL4, adult-ALG>FOT>GAL4, adult-EG>FOT>GAL4, repo<KOT<GAL4, adult-ALG<KOT<GAL4, adult-EG<KOT<GAL4 の全てのコンストラクションを完成させ、それらを持つハエ系統を作成する。そしてこれらを用いたハエを用いて、RU486(mifespristone)、とTMP(Trimethoprim)この2つの薬剤を時間差で加えることで2つの細胞系譜同時ラベルに最適な条件を見出し、計画したプレジェクトを完遂させる。
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