研究課題
挑戦的研究(萌芽)
配偶者選好性の分化は、生殖隔離や性選択を介してさらなる形質進化を駆動する。配偶者選好性の分化には脳内の情報プロセスの変化が重要であると考えられるが、神経回路の複雑性のためその機構は殆どわかっていなかった。本研究では、フェロモン選好性の進化によって生殖隔離を実現したショウジョウバエをモデルにこの解明に挑戦した。フェロモン選好性に関連するppk23-P1神経回路を構成する7種のニューロン群の形態、機能、シナプス結合をキイロショウジョウバエと雑種で比較し、雑種において失われたシナプス接続を特定した。
進化生物学、神経科学
同種を配偶相手として好み、異種を避ける性質(同種に対する配偶者選好性)は、さまざまな動物に広く保存されている。一方で、配偶者選好性は種分化に伴い、速やかに分化する。どのような神経回路の変化が、この分化を実現しているのだろうか?本研究では、神経科学や遺伝学のモデル生物であり、遺伝学的ツールや神経回路情報の豊富なショウジョウバエを使い、この問いに挑んだ。その結果、神経回路内の特定の神経接続の喪失が配偶者選好性の進化に重要であった可能性を明らかにした。