研究課題
挑戦的研究(萌芽)
マウスの視床下部の一部の小領域(前腹側脳室周囲核= AVPe)に存在し、神経ペプチドQRFP遺伝子を発現する約800個あまりのニューロンからなる神経細胞集団(Qニューロン)を特異的に興奮させると、体温が数日間に渡って環境温度付近まで大きく低下し、併せて代謝も著しく低下することを明らかにした。この状態は様々な点で冬眠動物にみられる冬眠に酷似していた。
神経科学
非冬眠動物に冬眠様状態を誘導できることを示したこの発見は体温制御・代謝制御の新たな機構の発見という生物学的に大きな意義をもつものである。また、今後Qニューロンに発現する遺伝子の網羅的解明に伴い、その活動を制御しうる薬物などの開発に資するものである。このような薬物などにより、Qニューロン活動を人為的に操作させる技術が開発された場合、ヒトの人工冬眠が現実味を帯びてくることを示した。