研究課題/領域番号 |
19K22476
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
桑子 賢一郎 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (30468475)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | ニューロン / 神経突起 / 核 |
研究実績の概要 |
これまでの代表者の研究から、小脳プルキンエ細胞では核膜蛋白質複合体LINC complexおよびリン酸化酵素LKB1によって核の位置が制御されている可能性が示唆されていた。そこで、まず、発生期から成熟期、さらに老齢期のプルキンエ細胞において免疫組織化学的手法による詳細な解析をおこない、LINC complexの構成因子であるSun蛋白質やNesprin蛋白質、またLKB1やその基質リン酸化酵素群の詳細な発現プロファイルを作成した。また、子宮内電気穿孔法をもちいた生体内遺伝子導入実験系により、プルキンエ細胞でLINC complexとLKB1の機能阻害をおこない、どのような異常が起こるかを組織学的解析によって調べた。その結果、これらの分子の機能阻害によって成熟プルキンエ細胞の軸索内に蛋白質の異常蓄積が起こっていることがわかり、軸索変性の可能性が示唆された。今後は、さらに老齢期プルキンエ細胞への影響も解析していく予定である。一方で、LINC complexとLKB1がどのように作用して核の位置制御に関わっているのかを明らかにするために、当該年度は種々の生化学的・分子生物学的解析系を立ち上げてきた。次年度は、これらの解析系と細胞培養系とを組み合わせて、蛋白質間相互作用やリン酸化レベルなどを調べていく。また、本研究でもちいる遺伝子欠失マウスを作成するために、エレクトロポレーション法とゲノム編集技術を組み合わせた新しい遺伝子組換えマウス作成法の準備も進めており、次年度は実際にLINC complex関連遺伝子欠失マウスの作成を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は代表者の所属研究機関の異動とそれに伴う研究環境の新たなセットアップのために少し遅れていたが、その後、徐々に実験結果が得られるようになってきているから。
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今後の研究の推進方策 |
プルキンエ細胞の核の局在制御および形態形成におけるLINC complexの関与に関して新たな実験系で明らかにしていく。また、LKB1とLINC complexの相互作用についての生化学的な実験を進める。そして、LKB1およびLINC complexに関連した分子(基質など)についても発現抑制実験系や遺伝子欠失マウスを用いて核局在や神経突起形成への関与を解析していく。
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