研究課題
申請者らの研究により、分界条床核が不安や抑うつなどの負情動生成に関与していること、さらに、分界条床核内ノルアドレナリン神経情報伝達亢進により胃排出能低下や下部消化管活動亢進が惹起されることが明らかとなっている。また、分界条床核内神経活動亢進が心拍数上昇などを引き起こすことも報告されている。そこで本研究では、分界条床核を起点とした神経回路に焦点を絞り、自律神経機能調節に重要な視床下部や下位脳幹部への神経情報伝達機構を明らかにすることを目的とする。2019年度は、分界条床核から視床下部への神経情報伝達に着目して研究を進め、改変型GPCR(hM4Di)とその特異的リガンドであるClozapine-N-oxide(CNO)を用いたDREADD法を利用した神経路特異的な神経活動操作法により、分界条床核から外側視床下部に投射する神経を選択的に活性化し行動学的な変化を検討した。2020年も引き続き、神経路特異的な神経活動操作法と、高架式十字迷路試験や明暗箱試験などの不安様行動を評価するための行動薬理学的解析を組み合わせた研究を進め、分界条床核から外側視床下部に投射する神経細胞の抑制が不安様行動を亢進させることを明らかにした。また、不安様行動が亢進する慢性ストレスモデル動物において、分界条床核から腹側被蓋野に投射する神経への抑制性入力が恒常的に亢進していることも明らかにした。分界条床核から外側視床下部に投射する神経路がストレスによる不安惹起に関与するとともに、本神経路がストレス時に上位中枢から循環器機能や消化管機能を調節する延髄などへの情報伝達の中継システムとして重要な役割を果たしていることが考えられる。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
Neuroscience Letters
巻: 728 ページ: 134958
10.1016/j.neulet.2020.134958.
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https://www.pharm.hokudai.ac.jp/yakuri/index.html