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2019 年度 実施状況報告書

化学遺伝学的手法による新規認知症治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K22478
研究機関北海道大学

研究代表者

園下 将大  北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (80511857)

研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2021-03-31
キーワードタウオパチー / キナーゼ
研究実績の概要

本研究では、高齢化社会の進行に伴い大きな社会問題となっている認知症に注目し、発症の分子機序と新規予防・治療法の開発を実施する。申請者は最近、細胞死や細胞増殖を容易に観察できる優れたモデル組織として神経疾患やがん研究に広く用いられているハエ視神経細胞に、タウオパチー患者で観察される変異型ヒトタウ(hTauR406W)を発現させたタウオパチーハエモデルGMR>hTauR406Wを作出することに成功した。このハエはタウオパチーの典型的な所見の神経細胞死やそれに伴う生存率の低下を示す。そこで本研究ではこのモデルを起点とし、まず全キノームの遺伝学的解析により、タウオパチー促進キナーゼTauopathy-Promoting Kinases (TPKs)を同定し、それらがタウオパチー発症を促進する分子機序や細胞間相互作用を解明する。さらに、それらを阻害する認可済みキナーゼ阻害薬がハエや患者由来iPS細胞から分化させた神経細胞の細胞死を抑制するか検討する。
今年度は、GMR>hTauR406Wハエのより詳細な解析を実施し、タウオパチーの典型的な所見である神経細胞の過剰な細胞死と複眼形成不全、そしてそれらに伴うハエ生存率の低下を同定した。次にこのハエを使用して全キナーゼの遺伝学スクリーニングを実施し、神経細胞死やハエ生存率低下を抑制するキナーゼ遺伝子変異を同定した。これらのキナーゼは野生型ではタウオパチーを促進すると考えられるため、TPKsと名付けた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに、タウオパチーモデルハエを使用して全キナーゼの遺伝学スクリーニングを実施し、神経細胞死を促進するキナーゼを複数同定することに成功している。これらのキナーゼはタウオパチーの新規治療標的と考えられるため、今後はこれらのキナーゼに対する阻害剤をモデルハエに投与し、それらの神経細胞死抑制効果を検討する。

今後の研究の推進方策

今後は、同定したタウオパチー促進キナーゼに対する阻害剤あるいは阻害薬を入手し、タウオパチーモデルハエに投与してそれらの化合物が細胞死抑制効果を示すか検討する。効果のみられたものについては、タウオパチー患者から単離したiPS細胞を分化誘導して作成した神経細胞を使用し、細胞死に対する影響を精査する。さらに、これらの薬物がhTauR406Wのリン酸化や細胞内局在、細胞外放出に及ぼす影響を、ウエスタン法やELISA法、免疫細胞染色によって定量化する。

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公開日: 2021-01-27  

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