研究実績の概要 |
いわゆるアミド(カルボキシアミド)やスルホンアミドは、生物機能性分子の創製において汎用され、構造展開の重要なオプションであるだけでなく、化合物ライブラリの構築や中分子医薬品への展開も広く検討されている。一方でリンのオキソ酸アミドの一つであるホスフィンアミドについては、合成化学における研究例はあるものの、生物活性化合物への応用を試みた例は少ない。本研究では、生物機能性分子創製における構造展開オプションとしてのホスフィンアミドの可能性を検討する。 当該年度は、前年度までに創製した種々のN,P,P-トリフェニルホスフィンアミド誘導体について引き続き検討を行ったほか、新たな誘導体としてN,P-ジフェニルホスフィンアミド誘導体の合成、およびP,P-ジシクロヘキシル-N-フェニルホスフィンアミドに関する予備検討を行った。N,P,P-トリフェニルホスフィンアミド誘導体に関しては、合成法の改良や、一部の化合物がプロゲステロン核内受容体に対して活性を有することを前年度までに見いだしているため、それに関する詳細な検討を行った。N,P-ジフェニルホスフィンアミドに関しては、いくつかの化合物シリーズを系統的に合成し、その物性評価を行い、N,P,P-トリフェニルホスフィンアミド誘導体との比較を行った。また、P,P-ジシクロヘキシル-N-フェニルホスフィンアミドに関しては、数種の化合物の合成を試みたものの難航している。これまでに合成した化合物については、膜親和性あるいは膜透過性、代謝安定性について予備検討を行った。
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