HIV潜伏感染再活性化作用(Kick作用)を有する新規タンパク質リン酸化酵素C(PKC)活性化剤であるジアシルグリセロールーラクトン誘導体(DAG-lactone)等を合成し、構造活性相関研究を行った。また、これらの化合物の評価検定のために、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を基盤としたPKC結合活性の簡便な評価法の確立を行った。この評価法を活用し、新規の有用なKick作用を有するPKC活性化剤を創出した。その結果、DAG-lactone誘導体のどのような構造がPKC結合活性に関与するのか、さらに、Kick作用に関与するのかが明らかになり、より有用なKick作用を有するPKC活性化剤のデザインが可能となった。 また、DAG-lactone誘導体とプロテアーゼ阻害剤ritonavirのconjugate化合物を適当なリンカー構造を導入することにより創製した。その際、リンカーの長さや種類、疎水性や親水性のバランス、生体内ではの切断効率等の検討を行い、最適化を行った。これらの知見は、ritonavir以外のプロテアーゼ阻害剤を用いたconjugate化合物にも適用可能であり、今後さらに有用なconjugate化合物をデザインすることができると思われる。 このconjugate 化合物は、作用した細胞内でKick作用によりHIVを産生させ、その場でプロテアーゼ阻害剤により死滅させることができ、安全性と効率性が高い次世代型の治療薬候補として注目される。
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