現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ABCトランスポータースーパーファミリータンパク質は、生体膜を貫通する膜タンパク質として、主要な分子群であり、様々な生命維持に直接関わっている。名前の由来となっているABCは、ATP結合と分解により動力を供給するエンジンとして働くタンパク質領域であり、その部位のアミノ酸配列の特徴に応じて、A, B, C, D, E, F, Gサブファミリーへとさらに分類されている。ところが、同じBサブファミリーに分類されている分子でも、エクスポーターとフロッパーゼのように、その機能は異なっている。しかし一方で、そもそもエクスポーターとフロッパーゼに違いはなく、エクスポーターも基質を生体膜二重層の内葉側から外葉側へ移動させているだけだとの説を支持する研究者も多い。 今回の研究成果によって、エクスポーターとフロッパーゼには立体構造上に大きな違いがあり、部位特異的変異導入実験の結果、そのアミノ酸残基の違いが分子機能と直接関係する可能性が得られたことは今後のABCトランスポーター機能研究に大きな前進をもたらすことから、科学的な意義が高いと考えられる。
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