本年度は、筋萎縮性側索硬化症 (ALS) やアルツハイマー病 (AD)、パーキンソン病(PD)などの神経変性疾患の原因とされているタンパク質の凝集の核となるフラグメントペプチド及びそれに対して効果を示す Catalytide の検討を行なった。ALS の発症原因とされている SOD1 タンパク質では、タンパク質の構造に基づき β-strand を豊富に含む配列をターゲットとした。そこで、ターゲットとした部分配列からβ-strand 含有数を考慮し、コンピュータモデリングで10-35 残基のフラグメントペプチドの立体構造解析及び Thioflavin-T (ThT) を用いた凝集性の検討を行い、凝集性が高い配列 SOD1-FP を見出した。そこで、SOD1-FP を用いて ThT の蛍光強度上昇を指標に複数のペプチドを用いて検討を行なった結果、数種類の Catalytide を見出した。さらに、その Catalytide の一つ 5AA-5 をコンピュータモデリングにて立体構造解析を行ない D-アミノ酸置換体の Catalytide を探索した。5AA-5 を基に 12 種類のペプチドの立体構造を比較した結果複数の D-アミノ酸置換体でも活性を有することが示唆された。そこで、合成・活性測定を行ない昨年度までの検討では見出せなかったD-アミノ酸置換体の Catalytide を見出した。これらの成果は現在特許申請に向け準備をおこなっている。 本研究により、生体内で安定性の高い Catalytide を見出すことができ神経変性疾患の治療薬開発に向けて優れた臨床適用可能なペプチド酵素の開発の立体構造を含む基礎的知見が得られたことより、その応用としてスパイクタンパク質を標的に挑戦的研究(開拓)『変異株にも対応できるペプチド性 COVID-19 治療薬シーズの同定』 に応募している。
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