研究課題/領域番号 |
19K22508
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
佐々木 雄彦 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (50333365)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | リン脂質シグナリング |
研究実績の概要 |
我々は最近独自に開発した質量分析技術によって、PIP3が血液中や細胞培養上清など細胞外にも存在することを発見した。多くのがん細胞では、PIP3の生成亢進や分解抑制が起きており、細胞膜に蓄積したPIP3は細胞内シグナル伝達因子として、その細胞自身の増殖や細胞死抵抗性を亢進すると考えられている。PIP3の細胞外機能という新しい発想を得れば、がん細胞から分泌されたPIP3が腫瘍内の周辺細胞(免疫細胞や線維芽細胞など)の形質にも影響を与え、免疫監視回避や転移などの現象に関わる可能性を考えることもできる。細胞外PIP3によるマクロファージ活性化に関して、サイトカイン産生を指標として構造活性相関を明らかにした。さらに細胞外PIP3が種々のがん細胞株に対して細胞骨格の再編成を誘起することを見出した。この作用については、感受性の差異が細胞株の間で認められることから、標的分子の同定に有益な情報であるとも考えている。また、細胞外へのPIP3移行の機構についても興味深い知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画した実験が順調に進捗した。研究の過程で生じた問題として、より多様な分子種の活性検討についても基礎的な検討を進めることができた。以上の理由により。研究は概ね順調に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は作用機序に関与するタンパク質ー脂質相互作用の実態を明確にしていきたい。以前に試みた細胞膜上の結合タンパク質の同定について、候補分子とのかかわりを確証する実験を計画する必要がある。また、PIP3が細胞外で代謝され、その産物が作用を示す可能性については否定できていないため、この点についての検討を加える必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に動物を用いた実験を次年度に実施することとなったため。
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