研究課題/領域番号 |
19K22509
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
松岡 達 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (00263096)
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研究分担者 |
竹内 綾子 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (00378704)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / 膜電位 |
研究実績の概要 |
ミトコンドリア膜電位は電子伝達系や細胞質・ミトコンドリアイオン動態によって変化し、ATP合成、活性酸素種の産生、細胞質イオン動態、アポトーシスなどの生理機能と深くかかわる。また、小胞体やリソソームの膜電位については明らかになっていない。オルガネラ機能の定量的な評価はこれまでは困難であった。すなわち、単離オルガネラを用いた古典的な研究手法ではintactな細胞内環境を保てず、細胞内の位置情報も失ってしまう。また、蛍光色素・蛍光タンパクを用いたイメージング解析では絶対値の議論が難しい。本研究では独自の電気生理学的手法と細胞イメージング技術を融合・発展させ、in situでオルガネラ膜電位を測定できる超微細微小電極法を開発する。 2020年度は、2019年度に開発した超微細微小電極作成手法のさらなる改良を行い、マウス心室筋細胞での応用まで実施した。 リファレンスとして蛍光色素を用いたミトコンドリア膜電位測定を行った。これまで用いていたTMRE (tetramethylrhodamine, ethyl ester)の代わりに、色素のミトコンドリア保持性が高いといわれるTMRM(tetramethylrhodamine, methyl ester)を、マウス心室筋細胞で試したところ、TMRE測定データ以上に心筋細胞内での色素輝度(ミトコンドリア膜電位)に不均一性があることがわかった。また、他のミトコンドリア膜電位感受性色素であるMT-1を用いた場合も、ミトコンドリア膜電位の細胞内不均一性が観察された。しかし、MT-1ではミトコンドリア脱共役剤FCCPに対する反応が二相性になり、使用に当たっては注意が必要と考察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超微細微小電極作成手法のさらなる改良と細胞への応用ができた。また、蛍光色素を用いたコントロール実験も行った。それ故、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度以降は、超微細微小電極を、蛍光色素を負荷した細胞(単離心室筋細胞または培養心筋細胞)に応用し、心筋細胞内ミトコンドリア膜電位を実測することで、細胞内でのミトコンドリア膜電位の不均一性を確かめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染流行のために一時期実験ができない時期があったためと、試薬の納品が例年よりも遅れた。そのため、当初の予定よりも実験できる回数が減り、予算を次年度に繰り越した。
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