本研究では、行為嗜癖(行動依存症)患者を対象に、その認知・情動・生理学的特徴を、神経心理学的手法を用いて調査した。その結果、行為嗜癖においても、前頭前皮質の活動と関連する確率判断の障害や、健常者よりも高い不安、ストレス、抑うつ傾向などの負の情動といった認知・情動機能障害が関わっていることが見出された。また、行為嗜癖では、薬物依存と共通するような血中モノアミン量の変化や、シナプス伝達や免疫系に関連する遺伝子のDNAメチル化が健常者と異なっているといった生理学的特徴も見出された。これらのことから、行為嗜癖の生物学的基盤は、薬物依存症と共通している部分があることが示唆された。
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