研究課題/領域番号 |
19K22519
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
有吉 哲郎 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (00782103)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | RNA / イメージング / グアニン四重鎖 |
研究実績の概要 |
本研究計画において、研究担当者はグアニン四重鎖制御タンパク質を網羅的にスクリーニングする系の開発を実行した。本研究計画では、研究担当者がこれまでに開発した蛍光RNA “Romanesco” を用いる。探索するグアニン四重鎖制御タンパク質がRomanescoの構造を変化させることで、その蛍光強度が変化することを用いてスクリーニングするという着想である。そこで、本研究計画の原理検証実験として、グアニン四重鎖解消酵素(G4-resolvase)の候補としてin vitroでの先行研究から提唱されているRNA結合タンパク質4種を用いて、過剰発現によりRomanescoの蛍光強度が減弱するかを確認した。ヒト由来のHEK293T細胞を用いた検証実験の結果、検討した4種の候補タンパク質のうち2種で過剰発現によりRomanescoの蛍光強度が低下した。この結果から、Romanescoを用いたG4-resolvase探索の有効性が検証できたと同時に、従来のin vitroでの探索手法では細胞内で実際に活性を持つG4-resolvaseの同定が困難であることが確認された。 多くの遺伝子発現調節タンパク質は、複数のサブユニットから構成される多量体構造を持つため、単独遺伝子の過剰発現でのスクリーニングには適さない。そこで、本研究計画では遺伝子網羅的なノックダウンスクリーニングによる探索を行う。その準備として、Romanesco発現細胞において、miRNA及びCRISPRiシステムの比較検討を行い、miRNAを用いたスクリーニングを実施することとした。 以上の成果により、グアニン四重鎖制御タンパク質を網羅的にスクリーニングする系の開発を順調に進めることができた。今後さらにスクリーニング系の構築を進め、2020年度中に未知のグアニン四重鎖制御タンパク質の同定を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
スクリーニング系の検証実験の結果G4-resolvase探索の有効性が検証できたこと、さらにmiRNA及びCRISPRiシステムの比較検討の結果miRNAを用いた遺伝子ノックダウンの系が整ったことから、当初の計画通り進展したといえる。 さらに、検証実験の結果からin vitroでの探索手法では細胞内で実際に活性を持つG4-resolvaseの同定が困難であることが確認され当研究計画の優位性が明らかとなったことから、予想以上の進展があったといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度構築したスクリーニング系を用いて未知のG4-resolvaseの同定を行う。具体的には、薬剤添加依存的にRomanescoを発現させるES細胞及びiPS細胞を用いて遺伝子網羅的ノックダウンを行い、Romanescoの蛍光強度上昇が見られた細胞をFACSあるいは顕微鏡での観察と単一細胞ピックアップによって回収する。回収された細胞においてノックダウンされていた遺伝子を次世代シーケンサーによって解析し、目的の遺伝子を同定する。 この計画に問題が生じた場合に備え、過剰発現によるスクリーニング系構築の検討を並行して進める。 以上の方針により、本年度中に未知のG4-resolvaseの同定を遂行できる見込みである。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該金額以下の物品を購入し有用に利用することが不可能だったため。 次年度にオリゴDNA購入費用として使用予定。
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