これまでに細胞運命決定における確率性の存在が、ERK核移行におけるアナログ・デジタル変換機構に由来する可能性を見出しており、このメカニズムの解明に取り組んだ。上記スイッチ機構はERK核移行の協同性に由来すると考えられ、その証明には正確な細胞内分子濃度の定量化が不可欠である。既存手法に限界が見いだされたため、簡易に精度良い計測を行うための多点FCS法の検討を進めることで、細胞小器官内外を同時に計測可能な手法を開発し、具体的な適用に至った。この実態の解明のため細胞深部の核膜における内膜・外膜での1分子計測が可能な顕微鏡を構成し、ERKが核膜上に100ミリ秒程度滞在する様子を観察することに成功した。
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