研究課題/領域番号 |
19K22522
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
村上 正晃 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00250514)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | ゲートウェイ反射 / IL-6アンプ / 自己免疫疾患 / 自己反応生T細胞 / ストレスゲートウェイ反射 / 光ゲートウェイ反射 |
研究実績の概要 |
負の情動は、ストレスとなり、臓器機能を乱し、病気を誘発することがある。逆に、正の情動は、ストレスを抑制して臓器機能の向上を引き起こす。申請者は、特異的な神経回路の活性化により局所炎症が誘導されるゲートウェイ反射を発見し、血管を介した神経系と免疫系の連関と病気発生に新たなページを加えた。今回、ストレスとは何か?との根本的な疑問を理解することに挑戦する。今年度は、心理的影響のある光に関してのゲートウェイ反射をを発見し、ゲートウェイ反射の収束機構を発表した。マウスぶどう膜炎モデルを用いて、明るい光と薄暗い光の飼育条件にて、目の病気の発症を検討した。その結果、明るい光は病態の形成を抑制することがわかった(Sci Rep 2019)。明るい光により、網膜神経細胞が活性化、産生されるノルアドレナリンにて網膜血管内皮細胞のα1ノルアドレナリン受容体発現が減少し、薄暗い光だとノルアドレナリン依存性に活性化する当該血管内皮細胞のIl-6アンプ機構が活性化できなくなる。IL-6アンプ機構の活性化は血液網膜関門を解放するために重要なケモカイン、増殖因子の過剰産生のためのNFkB活性化機構である。これらの結果を論文発表することができた。さらに、IL-6アンプを制御する分子を複数個同定してその活性化機構を解明して論文発表した。具体的には、J Exp Med 2019、J Invest Dermatol 2019、Arthritis Rheumatol 2019、Int Immunol. 2020であり、それぞれ、Regnase1、NEDD4、TMEM136、ORM1がある。また、ゲートウェイ反射とIL-6アンプの総説を複数個発表した。具体的には、 Immunity 2019、Bioelectric Med.2019、Int Immunol. 2019、 J Intern Med. 2019である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ゲートウェイ反射とIL-6アンプの論文発表に非常に多く繋がったため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の進捗が順調であったことから、これまでと同様に計画に沿って研究を推進していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 計画が順調に推移しており、もともと予算が低かった最終年度に繰り越したほうがより研究が促進すると判断したため。 (使用計画) 現在、自己反応性T細胞とストレスゲートウェイ反射の関係を自己反応性T細胞の種類を変化させることで検討している。さらに、ストレスゲートウェイ反射の突然死を誘導すると考えられる心不全の詳細をテレメトリー、エコーにて検討している。また、突然死を誘導する神経回路の詳細を神経の機能マーカーを含めて検討している。これら3点の方向性で研究を進める。
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