近年の次世代シークエンス技術の進歩によりマイクロバイオーム研究は著しい発展を遂げ、腸内細菌叢の変化は肥満や炎症性腸疾患だけでなく、自閉症や肝がん、大腸がん等様々な疾患との関連が示されている。一方p53と腸内細菌叢の関連はこれまで報告されていなかった。本研究により、p53による腸内細菌叢の制御が明らかになったことで、消化器がん・炎症性腸疾患の新たな制御メカニズムが示唆された。さらに消化管障害に関与するp53下流遺伝子群は分泌タンパク質であることから、その投与により、高リスク群に対して腸内細菌叢やその代謝産物である短鎖脂肪酸を標的とした予防的介入または治療の可能性が開かれると期待される。
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