研究課題/領域番号 |
19K22528
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
片貝 智哉 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00324682)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 細胞単離 / ストローマ細胞 / 組織スライス / 生体イメージング / 免疫細胞 / リンパ節 |
研究実績の概要 |
免疫システムの恒常性や免疫応答の根幹を担っているリンパ節などの二次リンパ器官は、免疫細胞が活発に移動しながら非常に複雑な多細胞間相互作用が進む動的な臓器である。これらの臓器では免疫細胞の挙動が時空間的に厳密に統制される必要があると考えられるが、その包括的な理解は進んでいない。このような組織動態を詳しく理解するためには、組織中の各細胞の位置情報を保ちつつ、個々の状態を解析する技術的な飛躍が不可欠である。本研究では、リンパ節の組織スライスおよび生体イメージングと極小組織細断/微量吸引法を組み合わせ、組織微小領域から生細胞を連続回収し、1細胞解析とともに広域空間の情報を網羅的に解析するシステムの構築を目指している。 本年度は、野生型マウス、およびCcl19, Ccl21a, Cxcl12など複数のストローマ細胞発現遺伝子レポーターマウス、遺伝子欠損マウス系統のリンパ節から組織スライスを作成し、簡易蛍光観察法および生体イメージング法により、ある組織微小領域から細胞集団を効率的に回収する手技の検討を継続した。特に、微小針を用いた組織打ち抜き法や、事前の酵素処理などを検討した。また、遺伝子レポーターマウスのリンパ節において、各種免疫細胞やストローマ細胞サブセットを詳細に解析するためのフローサイトメトリー法と遺伝子解析手法により、特定の免疫細胞(リンパ球、樹状細胞)やストローマ細胞サブセット集団の特徴的な遺伝子発現パターンを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
リンパ節の組織が予想以上に柔軟性、かつ伸展性に富んでおり、微小領域片や細胞集団の回収が容易ではなかったため、様々な手技的工夫による検討を要した。コロナ禍の影響により、共同研究による技術開発の検討などが予定どおりに進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
リンパ節組織の柔軟性、伸展性による微小領域片や局所細胞集団の効率的回収が想像以上に困難であったから、組織の物理的強度を上げ、固定するための支持材の検討などをさらに進め、微小領域を効率よく切断もしくは切り抜く方法を開発する。また、引き続き回収できた細胞集団を用いて解析の検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の流行により共同研究を基盤とした技術開発の検討が遅れ、これに関連する支出が滞ったため。 今年度は、この検討に必要な器具や消耗品、試薬、実験動物の購入、ならびに研究打ち合わせ等の旅費として支出を予定している。
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