研究課題
免疫システムの恒常性や免疫応答の根幹を担っているリンパ節などの二次リンパ器官は、免疫細胞が活発に移動しながら非常に複雑な多細胞間相互作用が進むダイナミックな臓器である。これらの臓器では免疫細胞の挙動が時空間的に厳密に統制される必要があると考えられるが、その包括的な理解は進んでいない。このような組織動態を詳しく理解するためには、組織中の各細胞の位置情報を保ちつつ、個々の状態を解析する技術的な飛躍が不可欠である。本研究では、リンパ節の組織スライスおよび生体イメージングと極小組織細断/微量吸引法を組み合わせ、組織微小領域から生細胞を連続回収し、1細胞解析とともに広域空間の情報を網羅的に解析するシステムの構築を目指している。本年度は、Ccl19, Ccl21a, Cxcl12, Cd11c, Pdgfrbなど複数のストローマ細胞、組織免疫細胞発現遺伝子レポーターマウス、遺伝子欠損マウス系統のリンパ節から組織スライスを作成し、簡易蛍光観察法と生体イメージング法を組み合わせて、リンパ節髄質領域の組織微小領域の細胞集団を効率的に回収する手法の構築を継続した。組織スライスの固着保持の方法や、微小バサミによる組織切断、微小針による組織打ち抜き法、事前の酵素処理などについて、さまざまな条件検討を進めた結果、ある程度の安定手技確立への目処を付けた。また、少数細胞サブセットを詳細に解析するためのフローサイトメトリー法と遺伝子解析により、特定のストローマ細胞サブセット集団の特徴的な遺伝子発現パターンを取得した。
3: やや遅れている
リンパ節の組織の予想以上に柔軟かつ伸展性に富んだ性状により、微小領域片や細胞集団の回収が非常に困難を極め、様々な技術的工夫や試行錯誤による検討を要した。コロナ禍の影響により、引き続き共同研究による技術開発の検討などが思うように進まなかった。
条件検討を重ねた組織スライス微小領域からの細胞取得方法の確定を目指す。また、組織微小領域に由来する単離細胞について、少数であっても1細胞遺伝子発現解析を遂行し、プロファイルの取得を試みる。本研究をまとめる作業を進める。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、計画どおりに研究が進捗しなかったため。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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https://www.med.niigata-u.ac.jp/zoo/welcome.html