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2020 年度 実施状況報告書

ウイルスゲノム間相互作用の立証と解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K22529
研究機関京都大学

研究代表者

野田 岳志  京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授 (00422410)

研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2022-03-31
キーワードインフルエンザウイルス / ゲノムパッケージング
研究実績の概要

インフルエンザウイルスのゲノムRNAは8分節に分かれている。各RNA分節はウイルス核タンパク質およびRNAポリメラーゼと結合し、リボ核酸タンパク質複合体(RNP複合体)として存在する。感染細胞で形成される子孫ウイルス粒子が増殖能を持つためには、8種類のRNA分節を全て取り込まなければならない。しかし何本のRNA分節がどのように子孫ウイルス粒子内に取り込まれるかという”ゲノムパッケージング機構”は、ウイルス学の古典的命題として半世紀以上も謎のままだった。申請者はこれまでに、8種類のRNP複合体が規則的な配置(「1+7」構造)をとって取り込まれることを明らかにした。そこで本研究では、ウイルスゲノムRNAを介したRNP複合体間相互作用の立証とその分子基盤の解明を目指した。これまでに、in vitro RNA合成系を用いて8種類のvRNAおよび各vRNAの3'端および5'端のRNAを合成し、gel shift assayを用いてvRNA-vRNA間相互作用の解析を実施した。その結果、in vitroにおいて、8種類のvRNAがそれぞれ複数のvRNAと相互作用しネットワークを形成していること、多くの相互作用がゲノムパッケージングシグナル間で認められることを明らかにした。本年度はin vivoにおいてパッケージングシグナル間の相互作用が存在するかどうかを解析した。HA分節のパッケージングシグナルに変異を導入したウイルスを作出し、減弱したゲノムパッケージング効率を回復させる変異を解析したところ、PB2分節のパッケージングシグナルに変異が導入されていることを見出した。すなわち、NPやポリメラーゼが結合したvRNPの状態においても相互作用が存在する可能性を示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに、in vitro RNA合成系を用いて8種類のvRNAがそれぞれ複数のvRNAと相互作用しネットワークを形成していること、多くの相互作用がゲノムパッケージングシグナル間で認められることを明らかにした。また、実際のウイルス感染細胞において、すなわちNPやポリメラーゼが結合したRNPの状態でも2つのRNA分節間に相互作用が存在しうることを見出した。

今後の研究の推進方策

RNPにおける分節間RNA-RNA相互作用を明らかにするため、ウイルス粒子内RNPをソラレンで架橋して解析を進める。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Selective Genome Packaging Mechanisms of Influenza A Viruses.2021

    • 著者名/発表者名
      Noda T
    • 雑誌名

      Cold Spring Harb Perspect Med.

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      10.1101/cshperspect.a038497.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Influenza A virus NS1 optimises virus infectivity by enhancing genome packaging in a dsRNA-binding dependent manner.2020

    • 著者名/発表者名
      Sha TW, Weber M, Kasumba DM, Noda T, Nakano M, Kato H, Fujita T.
    • 雑誌名

      Virol J

      巻: 17 ページ: 107

    • DOI

      10.1186/s12985-020-01357-3.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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