研究課題
疾患関連遺伝子は、スーパーエンハンサー(SE)と呼ばれる強力なエンハンサーの影響下で、疾患特異的にその発現が制御されている。このSE解析に必須であるクロマチン免疫沈降塩基配列決定法(ChIPseq)をホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織の病理検体に応用すべく、変性蛋白質を高親和性で認識しうるモノクローナル抗体の作成を通じた高感度ChIPseq法の開発、並びに本法を用いた神経変性疾患、代謝性疾患、感染症、がんにおける疾患特異的なSEとその形成機構を解析することを試みた。まず修飾ヒストンH3K9,27およびSE結合蛋白質BETファミリーBRD4, MED1について、変性抗原蛋白を合成ポリマーアジュバンドとともにBALB/cマウスへ免疫し、ハイブリドーマを作成、変性抗原を個相化したウェルにてELISA法で一次スクリーニングを行った。さらにDNA架橋変性抗原で二次スクリーニングを行い、ウエスタンブロット、免疫沈降、BIACOREにて活性を測定するとともに、各種修飾ヒストン蛋白質ペプチドによる吸収試験および抗原遺伝子欠損細胞株を用いた免疫沈降にて特異性を確認した。また神経変性疾患、代謝性疾患、感染症、がんにおける疾患特異的SEとその形成機構の解明を行うために各疾患のFFPE検体(病変部位と健常部位)について得られた抗体を用いて高感度ChIPseq法を行ない、一部の検体でSE構造を同定した。また大腸癌検体についてChIPseqにて重複して同定しえたSEの中で比較的狭い領域にピークがあるものを選択し、その領域の一部をビオチン誘導体付加した人工核酸プローブとして、大腸癌細胞株HT29を用いて、PICh法により、固定、クロマチン溶解、ハイブリダイズ後にストレプトアビジン・ビーズで精製し、蛋白質を調整後、銀染色とウエスタンブロットでマーカー蛋白質を複数同定した。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件)
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