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2019 年度 実施状況報告書

「新規HLA結合モチーフ」の同定によるがんペプチドワクチン開発基盤の再構築

研究課題

研究課題/領域番号 19K22551
研究機関筑波大学

研究代表者

宮寺 浩子  筑波大学, 医学医療系, 助教 (40361464)

研究分担者 平山 令明  東海大学, 先進生命科学研究所, 教授 (70238393)
研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2021-03-31
キーワードHLA / MHC / ペプチドワクチン / T細胞エピトープ
研究実績の概要

本研究はHLA(ヒト白血球抗原)クラスII(HLA II)を対象として、HLA II-ペプチド結合測定と、結合予測(ドッキング・シミュレーション)を行い、HLA IIが結合するペプチドの配列情報と結合能についてのデータを収集し、新規結合モチーフの同定を目指す研究課題である。研究代表者は、これまでに新規HLA II-ペプチド結合測定手法を開発した。この方法はHLA-ペプチド複合体の細胞表面発現量を定量することにより両者の相互作用を評価する測定系であり、既存の測定法では困難な「弱く結合するペプチド」、「疎水性ペプチド」の結合を精度よく検出できる。このため、これまで知られていないHLA結合モチーフ(新規HLA結合モチーフ)を見出すことができる可能性がある。2019年度は、この新規手法の評価および、既存手法との比較を行った。その結果、本研究の手法では、HLA IIのペプチド結合スペクトラムを、既存手法よりも正確に定量化できることを確認した。さらにT細胞エピトープ判別における有用性も示唆された。現在、これらの成果について論文投稿中である。また、多数のペプチドとHLAアリルとの組み合わせについて、なるべく安価に測定を行うため、測定に用いる発現プラスミドの設計を改良した。これにより当初の測定系よりも1/5 ~1/3程度の費用で結合測定用のプラスミド構築を行うことが可能となった。発現プラスミドについては、現在も微修正を加えながら、より使いやすい形へ改良を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに実施した測定データを基に、測定手法の評価を行い、既存手法より良好な結果を得た。結合測定法については現在、論文投稿中である。結合測定データの一部については、特許申請を準備中である。また、既知のアンカー残基3か所を固定し、残り1か所を20通りのアミノ酸に置換したライブラリ配列の設計を行い、これらの測定用のプラスミド構築を完了した。また、学会発表等を通して国際共同研究を開始し、2019年度中にマウスの腫瘍抗原(ネオ抗原)の結合測定を実施した(未発表)。このように全般的におおむね順調に進捗している。

今後の研究の推進方策

2019年度中に、結合モチーフ推定用のライブラリ(アンカー残基3か所を固定し、残り1か所を20通りのアミノ酸に置換した配列)を設計し、1種類のHLA IIアリルについて、一連のプラスミド構築を完了した。2020年度はこのライブラリ配列について結合測定を行うとともに、同一の配列セットについてドッキング・シミュレーションを行い、これらの結果を比較・解析する。また、ヒトの腫瘍抗原ペプチド(ネオ抗原)との結合測定を実施する。一方、2018年後半~2019年の間に、HLA IIに関わる論文発表は大幅に増加する傾向が見られた。なかでも、結合ペプチド予測(深層学習による結合予測、エピトープ予測)の開発について、複数の論文が米国の大学、企業から発表された。このようにHLA IIの結合解析およびT細胞エピトープ同定は、特に癌免疫の分野での重要性が認識されつつあり、需要が増加している。このような状況も考慮し、2020年度は成果について特許申請・成果発表を円滑に進めるとともに、既存手法との比較・検討および、新規手法のさらなる改善を進める。また、国内・国際共同研究等を通して、がん抗原、自己抗原、外来抗原ペプチドなど多数の結合予測・測定への発展を目指す。一連の解析により、計画当初の目的である、新規結合モチーフ同定と正確なHLA結合マップの作成を行う。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] University of Connecticut(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      University of Connecticut
  • [雑誌論文] HLAクラスIIの安定性測定によるペプチド結合能の評価2019

    • 著者名/発表者名
      宮寺 浩子
    • 雑誌名

      実験医学

      巻: 37 ページ: 2270-2274

  • [学会発表] HLA-DPとHBs抗原結合解析:肝がんに関連するウイルス変異による抗原提示能への影響2019

    • 著者名/発表者名
      宮寺 浩子、杉山 真也、西田 奈央、溝上 雅史
    • 学会等名
      第55回日本肝臓学会総会
  • [学会発表] HLAクラスI発現系とペプチド結合アッセイ系の構築2019

    • 著者名/発表者名
      宮寺 浩子、Jiang Nian、野口 恵美子
    • 学会等名
      第28回 日本組織適合性学会大会
  • [学会発表] HLAクラスII-ペプチド結合測定系の開発と評価2019

    • 著者名/発表者名
      宮寺浩子、吉山崇徳、永井英明、徳永勝士、星野仁彦
    • 学会等名
      第47回日本臨床免疫学会総会
  • [学会発表] Measurement of MHC-peptide interaction through cell-surface expression and stability assay improves screening of potential CD4+ T-cell epitopes2019

    • 著者名/発表者名
      H. Miyadera,H. Nagai, T. Yoshiyama, K. Tokunaga and Y. Hoshino
    • 学会等名
      米国免疫学会(IMMUNOLOGY 2019)
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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