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2019 年度 実施状況報告書

がん細胞におけるアミノ酸アダプティブセンサーの探索

研究課題

研究課題/領域番号 19K22553
研究機関東京大学

研究代表者

大澤 毅  東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任准教授 (50567592)

研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2021-03-31
キーワードがん微小環境 / アミノ酸 / アミノ酸センサー
研究実績の概要

がんの転移・浸潤・薬剤耐性などの悪性化には腫瘍微小環境が重要な役割を果たす。本研究では、グルタミン欠乏を基軸としたがん細胞のアミノ酸欠乏のアダプティブセンサーの探索から新規がんの治療法の開発につながる研究を目的として研究を行った。
本年度は、「グルタミンを基軸としたアミノ酸欠欠乏センサーの探索」の研究項目を実施した。近年、がん細胞はロイシンなどの必須アミノ酸欠乏をmTOR複合体を介したシグナル伝達系で感知することが知られている。一方、その他アミノ酸欠乏の感知機構は未だ不明な点が多い。本研究は、独自の低栄養培地に各アミノ酸のみを添加した培地を作成し20種類の各アミノ酸存在下で、がん細胞を培養した結果、各アミノ酸で特異的に発現誘導される遺伝子群や代謝物候補を同定し、パスウェイ解析を用いて各アミノ酸における上流転写因子を同定した。また、申請者はグルタミンで誘導され、ロイシンやその他のアミノ酸では変動しない遺伝子群を見出した。さらに、申請者らは、グルタミンで特異的なヒストン修飾(H3K4me3, H3K27ac)を解析し、プロモーター、エンハンサーの規定し、クロマチン相互作用のデータとの統合解析から、上流転写因子やアミノ酸トランスポーターなどのアミノ酸欠乏で必須となるセンサー分子を同定を試み、グルタミンで特異的に発現誘導するアミノ酸トランスポーター(SLCタンパク質群)を解析している。現在、申請者は、その他のアミノ酸における標的遺伝子群、グルタミン標的エンハンサー、変動するクロマチン相互作用の解析からセンサー・制御因子候補の同定を試みている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

がんの転移・浸潤・薬剤耐性などの悪性化には腫瘍微小環境が重要な役割を果たす。本研究では、グルタミン欠乏を基軸としたがん細胞のアミノ酸欠乏のアダプティブセンサーの探索から新規がんの治療法の開発につながる研究を目的とし研究を行い一定の成果を得ている。
具体的には、本年度は、「グルタミンを基軸としたアミノ酸欠欠乏センサーの探索」の研究項目を実施し、(1)独自の低栄養培地に各アミノ酸のみを添加した培地を作成し20種類の各アミノ酸存在下で、がん細胞を培養した結果、各アミノ酸で特異的に発現誘導される遺伝子群や代謝物候補を同定し、パスウェイ解析を用いて各アミノ酸における上流転写因子を同定した。(2)グルタミンで誘導され、ロイシンやその他のアミノ酸では変動しない遺伝子群を見出した。さらに、(3)グルタミンで特異的なヒストン修飾(H3K4me3, H3K27ac)を解析し、プロモーター、エンハンサーの規定し、クロマチン相互作用のデータとの統合解析から、上流転写因子やアミノ酸トランスポーターなどのアミノ酸欠乏で必須となるセンサー分子を同定を試み、現在、グルタミンで特異的に発現誘導するアミノ酸トランスポーター(SLCタンパク質群)の解析を精力的に行っている。ことから、本年の研究計画は、概ね順調に進んでいると考えている。

今後の研究の推進方策

本研究は、概ね順調に進んでいることから、次年度は、引き続き(1)グルタミンを基軸としたアミノ酸欠欠乏センサーの探索の研究を行うとともに、新たに、(2)グルタミンを基軸としたアミノ酸欠乏に対するアダプティブ機構の解明を行う予定である。具体的には、ロイシン欠乏は、細胞膜リン脂質ホスファチジルエタノールアミン(PE)を膜成分とするオートファゴソームの形成を促進しオートファジーを活性化することが知られている。一方、申請者は、グルタミン欠乏が、オートファジーを抑制することを見出した。がん細胞においてロイシン欠乏と異なりグルタミン欠乏に対する適応機構が存在することが示唆される。そこで本研究では、グルタミン欠乏を基軸とした各アミノ酸欠
乏とロイシン欠乏を比較し、がん細胞の新しいアミノ酸欠乏に対するアダプティブ機構をオートファジー活性の有無や非標準的なmTOR経路を検討しがんの治療標的を同定する。
本研究よりがん悪性化を促進する新しいアミノ酸欠乏の感知・適応システムやアミノ酸代謝異常に関わる代謝経路や遺伝子変動の解明が可能となり、新規がん治療法の開発やアミノ酸代謝異常疾患の病態解明や治療法への応用が期待できる。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 5件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Gene Expression Profiles Induced by a Novel Selective Peroxisome Proliferator-Activated Receptor α Modulator (SPPARMα) Pemafibrate2019

    • 著者名/発表者名
      Sasaki Y, Raza-Iqbal S, Tanaka T, Murakami K, Anai M, Osawa T, Matsumura Y, Sakai J, Kodama T
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 20 ページ: 5682

    • DOI

      10.3390/ijms20225682.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Phosphoethanolamine Accumulation Protects Cancer Cells under Glutamine Starvation through Downregulation of PCYT22019

    • 著者名/発表者名
      Osawa.T, Shimamura T, Soga T, Kodama T
    • 雑誌名

      Cell Reports

      巻: 29 ページ: 89-103

    • DOI

      10.1016/j.celrep2019.08.087.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Regnase-1-mediated post-transcriptional regulation is essential for hematopoietic stem and progenitor cell homeostasis2019

    • 著者名/発表者名
      Kidoya H, Muramatsu F, Shimamura T, Jia W, Satoh T, Hayashi Y, Naito H, Kunisaki Y, Arai F, Seki M, Suzuki Y, Osawa T, Akira S., Takakura N
    • 雑誌名

      Nature Commun

      巻: 10 ページ: 1072

    • DOI

      10.1038/s41467-019-09028-w.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Integrative Nutriomics Approach for understanding Cancer and Metabolism2020

    • 著者名/発表者名
      大澤 毅
    • 学会等名
      International Conference on Cancer Systems Biology Beyond
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Information and life science fusion brings innovation-To break through the limits of omics analysis2019

    • 著者名/発表者名
      大澤 毅
    • 学会等名
      The 42nd Annual Meeting of the Molecular Biology Society of Japan
    • 招待講演
  • [学会発表] Tumor progression though amino acids metabolic shift2019

    • 著者名/発表者名
      大澤 毅
    • 学会等名
      The 78th Annual Meeting of the Japanese Cancer Association
  • [学会発表] Integrative understanding and control of biological phenomena through specio-temporal omics2019

    • 著者名/発表者名
      大澤 毅
    • 学会等名
      The 92nd Annual Meeting of the Japanese Biochemical Society
    • 招待講演
  • [学会発表] がん細胞におけるグルタミン欠乏適応機構の解明2019

    • 著者名/発表者名
      大澤 毅
    • 学会等名
      第7回がんと代謝研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] Adaptation of Cancer cells against amino acid deprivation to promote tumor progression2019

    • 著者名/発表者名
      大澤 毅
    • 学会等名
      2019 Spring International Convention of The Pharmaceutical Society of Korea
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] Precision Medicine2019

    • 著者名/発表者名
      哺乳類胚の休眠ダイナミクス
    • 総ページ数
      84
    • 出版者
      北隆館
    • ISBN
      24343625
  • [図書] 医学のあゆみ2019

    • 著者名/発表者名
      多階層オミクス統合解析-オミクス解析
    • 総ページ数
      120
    • 出版者
      医歯薬出版株式会社

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公開日: 2021-01-27  

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