研究課題
独自に樹立したゲムシタビン耐性細胞であるMGEM6細胞とMGEM8細胞においてRRM1遺伝子コピー数が増加しており、染色体の観察からも遺伝子増幅が起こっていた。これらの細胞のBHLHE41のドキシサイクリン発現誘導細胞を単離してRRM1のコピー数の減少が再現よく起こることを見出している。このときにRRM1遺伝子アンプリコンの構造とRRM1以外の領域のゲノムで変化が起こっているかどうかを配列レベルで知るために、次世代シークエンスPac-Bioを用いてロングシークエンスによる全ゲノム配列解析を行った。COVID19の影響をうけて業者の選定が遅れたことや一部のサンプルの単離に時間を要しため遅れが生じたが、年度終了にあわせて配列データを入手した。現在この配列データからゲノムコピー数の変化を解析中である。また、p53が野生型である肺腺癌細胞A549についてもBHLHE41のドキシサイクリン発現誘導株を作成した。ドキシサイクリンによるBHLHE41発現誘導によってp53のタンパク質発現が高まることを確認している。このときp53の下流でp21の発現上昇は確認できるが細胞死を誘導するBAXのmRNAとタンパク質の発現は上昇せず、アポトーシスの亢進は観察されなかった。この時BHLHE41発現によってBAXの5'UTRのルシフェラーゼ活性化が低下することを観察した。BHLHE41はE-BOXに結合することが報告されており、BHLHE41が直接BAX遺伝子の5'UTR領域に存在するE-BOXに結合する可能性が高まった。そこでBHLHE41がBAXの5'UTRに直接結合するかどうかを明らかにするために、すでにヒトBAXの5'UTRの結合することが分かっているP53の抗体を陽性コントロールとしてChIPの条件検討中である。
3: やや遅れている
初年度のCrisper-cas9を用いた増幅部分のラベルが技術的に困難であったことから一部の計画を変更したこと、全ゲノムDNA配列解析についてCOVID19のためにを当初委託を予定していた業者が受注困難となり、別の業者を探すが必要であったことなどの原因による。
RRM1遺伝子の増幅部分は染色体の解析から転座をおこしていることが分かっていたので、今年度は別財源を確保して全ゲノムシークエンスを優先して行い、アンプリコン周辺のゲノム構造を解析を優先しておこなった。次年度にATAC-Seqを用いてゲノム構造の変化の解析を行う計画である。これらの結果から増幅遺伝子周辺にBHLHE41が作用する配列候補を絞りこむことができると期待している。また、ChIPの条件検討からChIPの結果を得るとともにBHLHE41と共沈されるタンパク質沈降の条件設定にも生かしての同定を進める。
初年度のCrisper-cas9を用いた増幅部分のラベルが技術的に困難であったことから一部の計画を変更したこと、RRM1遺伝子の増幅部分は染色体の解析から転座をおこしていることが分かっていたので、別財源を用いて全ゲノムシークエンスを優先しておこなってアンプリコン周辺のゲノム構造を解析を優先しておこなったことから次年度使用が生じた。次年度にATAC-Seqを用いてゲノム構造の変化の解析を行う計画である。これらの結果から増幅遺伝子周辺にBHLHE41が作用する配列候補を絞りこむことができると期待している。また、ChIPの条件検討からChIPの結果を得るとともにBHLHE41と共沈されるタンパク質の同定につなげる。
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