本研究内容にあるmiRNAの作用を低分子化合物により代替するというアイデアは極めて斬新なものである。元来miRNAは遺伝子の主に3'UTRを介し核酸配列の相補性に基づいて作用するため、核酸医薬を用いずに低分子を用いて代替できるとは考えられていなかった。しかし、私は3’UTRを標的とするスクリーニングに挑戦し、Rictor遺伝子の発現調節過程を低分子化合物によって制御することに成功した。本研究によってその分子基盤解明に挑戦することは、特定の遺伝子発現を3’UTRを介して制御する新しい原理の発見につながる点で、これまでの遺伝子発現制御機構の研究及び対がん創薬研究を大きく変革させる潜在性を有する。
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