研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究ではショウジョウバエを用いて、電気ショックによる時間条件付けの実験系を確立し、秒単位の時間知覚(計時)について行動学的に解析した。その結果、ショウジョウバエが数秒間隔の時間を正確に計測し、その時間周期性に応じて逃避行動を示すことを明らかにした。こうした計時機能は脊椎動物と無脊椎動物で共通していることから、秒単位の「リズム感」は進化の早い段階で獲得した生物の機能であることが示唆される。
神経行動学
秒単位の時間間隔の情報や同調は、動物の行動を最適化させるための重要な手がかりとなる。秒単位の時間知覚については、無脊椎動物ではこれまでほとんど報告がなかった。本研究成果は、無脊椎モデル動物であるショウジョウバエに秒単位の時間条件付けを適応した初めての例である。今後は本研究で開発した実験系に遺伝子操作技術を組み合わせることで、時間知覚に関わる神経回路を高い解像度で明らかにすることが期待される。