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2019 年度 実施状況報告書

神経回路再構築におけるエクソソームの機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K22578
研究機関金沢大学

研究代表者

華山 力成  金沢大学, ナノ生命科学研究所, 教授 (40403191)

研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2022-03-31
キーワードエクソソーム / シナプス剪定 / ミクログリア / サイトカイン / ケモカイン
研究実績の概要

私達は神経細胞由来エクソソームによるミクログリアでのC3発現誘導が、あらかじめ神経細胞に脱分極刺激を与えることで、より強く誘導されることを見出しており、脱分極刺激依存的にC3の発現誘導を引き起こす機能分子がエクソソームにリクルートされると考えている。その機能分子が、(i)エクソソームの表面蛋白質である場合にはミクログリア上の受容体と結合することで、(ii) エクソソーム内部の蛋白質やmRNA・miRNAであった場合にはミクログリアのエンドソーム膜との融合を介してミクログリア内に放出されることで、ミクログリアにおけるC3の発現を誘導すると想定している。一方、NIH3T3細胞など他細胞由来のエクソソームには、ミクログリアにおけるC3の発現誘導能がほとんど認められない。よって、脱分極刺激(+) or (-)の神経細胞由来エクソソームとNIH3T3細胞由来エクソソームとの3者における蛋白質、mRNA・miRNAなどの組成の違いを、質量分析法やRNAシークエンス法で比較することで、脱分極刺激(+)の神経細胞由来エクソソームにのみ強く発現している候補分子を網羅的に同定した。次に、これらの候補分子を293T細胞に過剰発現させ、そのエクソソームをミクログリアに投与することで、C3の遺伝子発現を実際に誘導するかを検討したところ、あるエクソソーム膜上の分子が、C3のみならず、様々なサイトカインやケモカインの発現誘導を促進することを見出した。また、本分子の細胞外領域と抗体Fc領域との融合タンパク質を作製し、同様にミクログリアに投与したところ、同様の効果を認めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

神経活動依存的に、神経細胞由来エクソソーム上に発現が誘導される新規分子を同定した。またこの分子が、ミクログリアにおいて種々のサイトカイン・ケモカインの発現を誘導することを見出した。

今後の研究の推進方策

現在CRISPR/Cas9を用いて、この分子のノックアウトマウスの作製を進めている。このマウスを用いて、神経変性疾患や脳血管障害などにおける脳神経のリモデリングにおける本分子の役割を検討していく。

次年度使用額が生じた理由

本年度は、新規分子の同定に時間がかかり、当初予定していた遺伝子改変マウスの作製が次年度に行うこととなった。全体計画においては遅延はない。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件)

  • [雑誌論文] Novel properties of myoferlin in glucose metabolism via pathways involving modulation of adipose functions2020

    • 著者名/発表者名
      Nozato Yoichi、Takami Yoichi、Yamamoto Koichi、Nagasawa Motonori、Nozato Satoko、Imaizumi Yuki、Takeshita Hikari、Wang Cheng、Ito Yuki、Takeda Shuko、Takeya Yasushi、Sugimoto Ken、Nakagami Hironori、Hanayama Rikinari、Rakugi Hiromi
    • 雑誌名

      The FASEB Journal

      巻: 34 ページ: 2792~2811

    • DOI

      10.1096/fj.201901539RR

  • [雑誌論文] Aire-expressing ILC3-like cells in the lymph node display potent APC features2019

    • 著者名/発表者名
      Yamano Tomoyoshi、Dobes Jan、Voboril Matous、Steinert Madlen、Brabec Tomas、Zietara Natalia、Dobesova Martina、Ohnmacht Caspar、Laan Martti、Peterson Part、Benes Vladimir、Sedlacek Radislav、Hanayama Rikinari、Kolar Michal、Klein Ludger、Filipp Dominik
    • 雑誌名

      Journal of Experimental Medicine

      巻: 216 ページ: 1027~1037

    • DOI

      10.1084/jem.20181430

  • [雑誌論文] Development of a Method That Delivers Drugs to Enveloped Viruses2019

    • 著者名/発表者名
      Bahrini Insaf、Hanayama Rikinari
    • 雑誌名

      Biological and Pharmaceutical Bulletin

      巻: 42 ページ: 977~981

    • DOI

      10.1248/bpb.b18-01000

  • [雑誌論文] Serum milk fat globule-EGF factor 8 (MFG-E8) as a diagnostic and prognostic biomarker in patients with hepatocellular carcinoma2019

    • 著者名/発表者名
      Shimagaki Tomonari、Yoshio Sachiyo、Kawai Hironari、Sakamoto Yuzuru、Doi Hiroyoshi、Matsuda Michitaka、Mori Taizo、Osawa Yosuke、Fukai Moto、Yoshida Takeshi、Ma Yunfei、Akita Tomoyuki、Tanaka Junko、Taketomi Akinobu、Hanayama Rikinari、Yoshizumi Tomoharu、Mori Masaki、Kanto Tatsuya
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 9 ページ: 15788

    • DOI

      10.1038/s41598-019-52356-6

  • [学会発表] Development of analysis methods of exosomes, endogenous nano-particles2019

    • 著者名/発表者名
      華山力成
    • 学会等名
      Laboratory for Intellectual Innovation Forum
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] エクソソームによる疾患の発症機序2019

    • 著者名/発表者名
      華山力成
    • 学会等名
      Pfizer Endocrinology Forum 2019
    • 招待講演
  • [学会発表] エクソソームを介したシヌクレイノパチーの発症機序2019

    • 著者名/発表者名
      華山力成
    • 学会等名
      第37回 日本神経治療学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] 神経系エクソソームによる疾患の発症機序2019

    • 著者名/発表者名
      華山力成
    • 学会等名
      日経バイオテクセミナー
    • 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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