研究課題
ALSや脊髄小脳変性症などの神経変性疾患では、特定の神経細胞選択的な変性が認められるが、その理由は依然として不明であり、病態解明の障壁となっている。これには個々の神経細胞の特徴を、RNA発現プロファイルの観点から明らかにすることが重要である。研究代表者らは、特定の神経細胞に発現するRNAを高精度に回収するため、TU-tagging法とCLIP法を組み合わせたtuCLIP法と命名した新たな手法を開発し、神経細胞毎の高精度RNA発現プロファイルマップが作製可能であることを実証する目的で本研究を遂行してきた。研究開始後、マウス小脳プルキンエ細胞を標的細胞として設定し、手法の確立とSCA1モデルマウスを用いた経時的なRNA発現プロファイルの変化を追ってきた。これまでにRNAラベリングの頻度、濃度や1回当たりの投与量、投与部位(腹腔、脳室)を調節し、その後RNA-seqを行ってきた。その後、情報解析レベルでT-to-C置換の生じたRNAを抽出し、プルキンエ細胞のマーカー遺伝子の濃縮具合を目印にして試行錯誤を繰り返した。色々と改良を試みたが、シーケンスされた全リードに占めるT-to-C置換を含むRNAの割合が少ない状況を改善できていない。このため、プルキンエ細胞のマーカー遺伝子の存在は確認できたが、全体として細胞特異的な遺伝子プロファイルを抽出できているのかどうかを確定することができていない。今後はシーケンスと情報解析を工夫して、更に精度の高い手法を確立することを継続して進めていきたい。
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PLoS Genetics
巻: in press ページ: in press
炎症と免疫
巻: 28(6) ページ: 546-550
http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/rna/publications.html